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仕 事 ‎Begin の メ ー ル 作 法    < 【しごび】流読書のススメ
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                  文章がうまくなるには…

文章を書くのがうまくなりたいんです、という人に私がおすすめする方法。

それは、読むこと。

できれば、今どきの新進作家の作品ではなく、夏休みの課題図書になるよ
うなスタンダードな作品。芥川龍之介、森鴎外、夏目漱石など、いわゆる
文豪と呼ばれた作家の小説や、松本清張、遠藤周作、井上靖など現代作家
の有名どころなど、です。

そこには、古めかしいけれど、美しい日本語があります。

今、読むには、明治の文豪の小説はいささか読みにくいかもしれません。
ですが、人生の一時期、そういう、いわゆる小説の“古典”を集中的に読
み、その言葉や表現力に触れる時期があっていいと思っています。

十代のときに読んだそれと、今、大人になって読むのとでは、また感じ方
や受け止め方が違っているのも、読書の醍醐味でしょう。

正統な文章を読むことが、自分の文章を書くときに基準や土台になってく
れるものです。

私もこの夏は、学生時代に読んだ大作、野上弥生子の「迷路」に挑戦です。

(VOL.118 2005年6月27日 より)

<追記 2018.10.05>———————————————

文章がうまくなるためには、まず読書。この考えは今も変わっていません。
ただ、文豪とか、現代作家という定義は、私が思うそれと現在とでは変わって
きていて、清張、遠藤周作、井上靖などは、もはや古典。
今なら、村上春樹とか東野圭吾、林真理子、又吉直樹の名を挙げる人もいるか
もしれません。

最終的に、自分の好きな作家の本であれば、それで良いと思うのですが、ここ
で言いたいのは「洗練された書き言葉」に触れることが、文章上達の基礎にな
るということです。

小説は作家自身だけでなく編集者の眼と手も加わって磨きあげられ、世に出ま
す。長く読み継がれる作品はさらに、読者によって洗練されてきたとも言える
でしょう。人の手、人の眼によって鍛えられた作品は、文章としての力がある
ということです。そういうものに少しでも多く触れ、読む力をつけることが書
く力につながると考えます。

とはいえ、現在は話す力のある人が文章も達者というケースがあるので(例:
ジェーン・スー)一概には言えませんが。

でも、ネットで簡単に他人の文章に触れられる今だからこそ、紙の本の中にあ
るスタンダードな文章を知ることって、体験として私は貴重だと思っています。