今週は、読者の方からの質問に回答します
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仕 事 の メ ー ル 作 法            < 読者からの質問(5)
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                       「教示」か「教授」か

<読者からの質問>——————————————

1点ご教示ください。

この、『教示』ですが、
社内で若い(と言っても30代半ば)男性が、
得意先へのメールに『ご教授下さい』と記載していました(2人)。

1人には「ご教授ではなくご教示では?」と
それとなく連絡したのですが、

別の方が同じように使用しているのを見て、
「ご教授でも良いのかも?」
と自信がなくなってきました。

得意先へのメールに「ご教授」でもよろしいのでしょうか?
自分では先生が生徒に教える時と理解していたのですが……

(読者 M.Uさん)

——————————————————————-

「ご教示」と「ご教授」についてですが
結論から申しますと
「ご教示」を使うのが適切です。

「教示」とは、知識や方法などを教え示すこと。
「教授」とは、学問や技芸を教え授けること。

似たような意味ですが
文字通り、教え示すことが「教示」であるのに対して

教え授けることが「教授」。
時間をかけ、専門的な学問や技術、芸事を教えていくことです。

「教授」に対し
「ちょっとここ、教えてもらえますか?」といった
たやすく教えられることが「教示」です。

したがって
メールで得意先に
「教えてください」という意味合いで使う場合は

「ご教示ください」
が適切です。

メールで「ご教授ください」と使っているのは
ミスタイプでそうなったのか
「教示」と「教授」の意味を同一と捉えているか
ではないでしょうか。

参考にしていただけるとうれしいです。

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今週は、読者の方からの質問に回答します
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仕 事 の メ ー ル 作 法                                             < 読者からの質問(4)
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「ずつ」か「づつ」か

<読者からの質問>——————————————

「少しずつ」とか「一つずつ」という時には、
「ずつ」が正しくて「づつ」は誤り、と学校で習いました。

今回、会社のサイトに載せる文章で、「づつ」となっている
箇所があったので、担当者に連絡しようと思ったのですが、
その前にふとネットでも見てみようと思い立ちました。

そうしたところ、「ずつ」が正しいとするものがほとんどの中で、
『本則は「ずつ」で、「づつ」も許容される(づつも誤りではない)』
とする記事が目に留まりました。

その記事に書かれていたキーワードをもとに、
「昭和61年内閣告示 現代仮名遣い ずつ」で検索したところ、
こちらのページがヒットしました。

「現代仮名遣い」に関する内閣告示及び内閣訓令について:文部科学省

(一部引用)

5 次のような語は、「ぢ」「づ」を用いて書く。

(略)

(2) 二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」

(略)

なお、次のような語については、現代語の意識では一般に二語に
分解しにくいもの等として、それぞれ「じ」「ず」を用いて書くことを
本則とし、「せかいぢゅう」「いなづま」のように「ぢ」「づ」を
用いて書くこともできるものとする。

(略)

例:(略) ひとりずつ

(引用ここまで)

こうしたことを参考にすると、今では「づつ」もハッキリと
誤りとはいえないのでしょうか……?

「ずつ」が正しい、と教えられた昭和の人間(笑)としては、
今さら「“づつ”も誤りではない」といわれても、モヤモヤして
スッキリしませんし、今後は「“ずつ”が正しいですよ」と
指摘するのも何だか気がひけてしまいます。
(読者 A.Aさん)

——————————————————————-

「ずつ」と「づつ」の問題に限らず
「正しい」か、「誤り」か
という観点で言葉を見ていくと、

実に様々な解釈があり
正解を追っていけばいくほど
“言葉の迷宮”に深くはまり込んでしまいます。

そこで、少し観点を変えて
世間一般で「正しい」として使われている言葉を追求する
というよりも

自社での「表記の基準」を持つ
ことに観点を移してみることを
特に一般企業の方にはお勧めしています。

つまり、
「当社では〇○にのっとり、『ずつ』で表記を統一しています」
と対外的に伝えられるようにすることです。

上記の○○に相当するのが「自社の基準」です。

基準となるものは、広辞苑のような辞書でもよいのですが
私は 共同通信社の「記者ハンドブック」
お勧めすることが多いです(私自身も長年使っているので)。

これは新聞で使われている統一表記を示したもので
新書サイズで、2.5cmほどの厚さがありますが
広辞苑に比べ、はるかに薄くハンディなので使いやすいです。

「記者ハンドブック」では
「ずつ」で表記が統一されています。

ですから、仮に御社のサイトに「ずつ」の表記があり
それを見たお客様が
「『ずつ』ではなく『づつ』が正しいのではないか?」
といった問い合わせがあった場合でも

「当社では、共同通信社の『記者ハンドブック』を基準に
サイトやその他、対外的な文書の表記を統一しております」

と対応できれば、問題ありません。

実際に、「ずつ」か「づつ」かでクレームを言ってくるお客様は
いないかもしれませんが、

表記に関して、自社で設けた基準があれば
「黄門さまの印籠」のような形で対外的に示すことができ
説得材料にできると考えます。

ちなみに、「記者ハンドブック」に似た形態で
主に文芸書の編集者や作家が使っている
講談社の「日本語の正しい表記と用語の辞典」
という辞典がありますが
こちらも「ずつ」が統一表記として挙げてありました。

「づつ」も間違いではない、という解釈もありますが
上記の“基準”にのっとり
自社の文書の表記統一を設けることをお勧めしたいです。

新聞社や紙媒体の編集部では
「自社用の表記統一表」を作っているケースもあります。
Excelデータに、よく使う表記や専門用語をまとめて
自社の基準にしています。

長くなりましたが
上記が私の見解です。
参考にしていただけるとうれしいです。

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今週は、読者の方からの質問に回答します
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仕 事 の メ ー ル 作 法 < 読者からの質問(3)
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期待に沿う? 期待に添う? その後

6月9日に配信したVOL.2427
期待に添う? 沿う?< 間違いやすい言葉(2)>

について、プロの翻訳者の方からいただいたご意見を
昨日に引き続き、ご紹介します。

▼昨日配信した VOL.2432 でご紹介した内容はこちら

技術翻訳歴19年のプロ翻訳者 水谷淑見さんは
「期待に沿う」「期待に添う」
どちらを使っているのか、後学のためにお尋ねしたところ、
下記のご意見をいただいたのでご紹介します。

<水谷さんからのご意見>——————————————

共同通信社の記者ハンドブックは私も手元に置いてあります。
ただ、記者ハンドブックの表記はあくまで新聞用の表記です。

つまり、どの記者が書いても同じ書き方の原稿が上がってくる、
という点に重点を置いて作られています。
工業製品と同じ視点で文章を書こうというわけですね。

ですから、そのような視点が要求されない場合に
記者ハンドブックの表記を適用するのは無理があります。

記者ハンドブックはあくまで日本語表記に関する一つの見解に過ぎません。
この点を忘れてはならないと私は考えます。

デジタル大辞泉にも記載されているとおり、語源は同じです。
中国語と日本語は別の言語であり、
漢字が意味する範囲と和語が意味する範囲は異なります。
それにもかかわらず漢字と和語を対応付けて訓読みしているために
どの表記を採用するかという問題が発生しているのです。

採用する表記は状況に応じて変わります。

新聞記事を書く場合は「沿う」。
その他の刊行物に寄稿する場合は、各社の基準に従う。
ビジネスメールを書く場合は「沿う」と「添う」のどちらでもOK。
文学作品であれば、作者の意図に応じて他の漢字表記でもひらがなでもOK。
その場その場で答えは違うはずです。

私が翻訳するときには、
クライアントから指示があればその表記に従います。
指示がなければ私の裁量で選びます。
ただし、文書の中では表記を統一します。

「添う」のほうが、相手の考えに寄り添うような温かみがあって好きです。
この漢字を見た読者も、
おそらくそのようなニュアンスを受け取るでしょう。
カタログなど、気取った表現が多用される場合は、
新聞や雑誌で多用される表記にこだわらずに自由に書くこともあります
(期待に「そう」の場合は他の表記が思いつきませんが)。

——————————————————————-

水谷さんは、このような基準で言葉を選択し、使っておられるのですね。
勉強になりました。

翻訳者 水谷淑見さんのブログはこちら

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今週は、読者の方からの質問に回答します
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仕 事 の メ ー ル 作 法                        < 読者からの質問(2)
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                     期待に沿う? 期待に添う?

6月9日に配信したVOL.2427
期待に添う? 沿う?< 間違いやすい言葉(2)>
について読者の方からいただいたご意見を紹介します。

<読者からの質問>————————————————-

メルマガ VOL.2427
に気になった点がございましたのでメールを差し上げました。

6月9日号で

>  「期待にそう」の「そう」。
>
>  当てはまる漢字はどちらだと思いますか?
>   A)添う
>   B)沿う
>
>  正解は、B)沿う
>
> (中略)
>
>  「意に沿う」「希望に沿う」という場合も
>  「沿う」を使います。

と説明されていますが、
デジタル大辞泉には以下のように記載されています。

そ・う〔そふ〕【添う/▽副う】
《「沿う」と同語源》
[動ワ五(ハ四)]
1~3 略
4 目的どおりになる。かなうようにする。「御希望には─・いかねます」
5 略

「期待に添う」も正解です。
どちらの表記も正しい、ということです。
人によって見解が分かれるのかも知れませんが、
少なくとも「沿う」のみが正解だと言い切ることはできません。

——————————————————————-

上記のご意見をくださったのは
技術翻訳に19年携わっておられる
翻訳者の水谷淑見さんです。

水谷さんのご意見に対し、わたしは次のように返信しました。

———————
デジタル大辞泉の記述は
私も確認しました。

確かに解釈は分かれるところと思いますし
正直申しまして、私も迷ったのですが
最終的にいつも使用している
共同通信社の「記者ハンドブック」の統一表記に準じ
「期待に沿う」を採用いたしました。

その旨、メルマガにも書いておくべきでしたね。

バックナンバーのブログの方へは
書き添えておきます。

メルマガの説明が不十分で
大変失礼いたしました。

後学のために水谷さんにお尋ねしたいのですが
プロの技術翻訳者は
「期待に沿う」「期待に添う」
どちらをお使いになっているのでしょうか。

差し支えなければ
教えていただければありがたく存じます。

————

水谷さんのご指摘を受け、注意書きを加えたバックナンバーはこちら

この後、水谷さんから
「期待に沿う」「期待に添う」について
大変興味深いご意見をいただきましたので
明日、改めてご紹介します。

翻訳者 水谷淑見さんのブログはこちら

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今週は、読者の方からの質問に回答します
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仕 事 の メ ー ル 作 法            < 読者からの質問
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                     見送らさせていただきます?

6月5日に配信したVOL.2425
お願いするときのひと押し < 頼むとき・頼まれたときの対応(5)>
についての質問です。

<読者からの質問>————————————————-

今日の内容で気になったことがあってメールしました。

あまりにも押しが強い依頼や、一方的で迷惑な頼みごとに対しては

「結構なお話だとは思いますが、今回は見送らさせていただきます」

「(理由を挙げ)のために、申し訳ありませんが、お断りいたします」

と断りを入れます。

とありますが、
見送らさせて」は「見送らせて」ではないでしょうか?

最近よく「~を見させていただきます」という言い方を耳にしますが、
これも「見せていただく」なのではないかといつも気になっています。

ご意見お伺いできればうれしいです。
(読者 M.Mさん)
——————————————————————-

M.Mさんがご指摘くださっているとおり
「見送らさせて」ではなく
「見送らせて」が正しいです。

「見送らさせて」は
不要な「さ」が入った「さ入れ言葉」になっています。

ご指摘いただくまで気づかなかったとは……
お恥ずかしい限りです。

メルマガバックナンバーのブログを
訂正しておきますね。

※上記のM.Mさんの指摘を受け、バックナンバーの該当箇所を訂正しました。

「見送らさせて」⇒「見送らせて」同様に

「断らせていただきます」⇒「断らせていただきます」
「読ませていただきます」⇒「読ませていただきます」
「作らせていただきます」⇒「作らせていただきます」

なども「さ」は不要。
質問にあった
「見せていただきます」も「見せていただきます」
と「さ」を入れないのが適切です。

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今週は、間違いに気づきにくい言葉を取り上げます。
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 仕 事 の メ ー ル 作 法 < 間違いやすい言葉(5)
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                     「よい」か「わるい」か?

 分かっているようで分かっていない
 うっかり間違えたまま使っている……
 そんな言葉を今週は取り上げてきました。

「いさぎよい」を漢字に送り仮名をつけて書いてみてください。
 あなたが書いたのは次のどちら?

  A)潔い

  B)いさぎ良い

 正しいのは、A)「潔い」です。

 送り仮名は「い」で
 「潔よい」と書くのも誤りなので注意を。

 卑怯なところや見苦しいところがなく
 すがすがしいことを「潔い」と言います。

 では、「潔い」の反対語は「いさぎわるい」かというと
 そうではありません。

 反対語というよりは
 「潔い」と思わないこと
 を指す言葉として
 「潔しとしない」あるいは「潔しとせず」があります。

 卑怯で正しくないとして、そうすることを自分に許さない、
 不満に思って受け入れない、という意味。

 「人に頼ることを潔しとしない」といった使い方をします。

 —————-

 次の言葉は、どちらが正しいでしょうか?

  C)あくどい

  D)悪どい

 正しいのは、C)「あくどい」です。

 読みの「あく」から「悪」をイメージしますが
 ものごとが度を越えていて嫌な感じを受けることを
 「あくどい」と言います。
 漢字の「悪」を使うわけではありません。

 同じように「あく」という言葉に
 「あくまで」
 があります。

 これも「悪まで」や「悪魔で」と書くのは間違いで
 漢字で書く場合は「飽くまで」です。

 どこまでも、最後まで、徹底的に
 という意味で
 「悪」とは無縁の言葉です。

 音や読みからくるイメージで
 間違えたまま覚えていたり、思い込んでいることもあるので
 今回、取り上げてみました。

 パソコンで入力すれば、自動的に
 文字が変換されるため
 こうした間違いも減ってきているのかもしれませんが

 折にふれ、辞書で言葉の意味をたどってみる
 時間を持ってみてください。
 思わぬ発見や気づきがありますよ。

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