今週は、読者の方からの質問に答えます。
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仕 事 の メ ー ル 作 法 < 読者からの質問(5)
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「~してございます」

<読者からの質問>————————————————

メール作法とは少し違うのですが、
気になっていたことを述べさせていただきます。

東日本大震災の頃、東京電力の会見で会社の偉い人たちが、
口を揃えて言っていた言い回しがあります。

それは「~となって『ございます』」という言い回しです。

直近では加計問題で、文部科学省高等教育局長が
「と思ってございます」と国会で言っていました。

「動詞+助詞+ございます」という口語表現です。

なぜ「~と思っています」とか、
「~です」と言わないのでしょう。

私はいつも、この口語表現を聞くたびに違和感を覚えるのです。
その内、文章語になってしまったら、気持ち悪いですねえ。

神垣様はこの点について、どうお考えですか。
(読者 K.Iさん)
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「ございます」には、2通りの使い方があり

1つは、「ある」の丁寧語として、「あります」より丁寧な言い方で使われます。
例)商品はこちらにございます。
何もございませんが、どうぞ。

もう1つは、補助動詞「ある」の丁寧語としての使い方です。
例)先方にお願いしてございます。
山田様にご紹介いただいた佐藤でございます。

「~となってございます」や「~と思ってございます」は
使い方としては間違いで、

この場合は「いる」の丁寧語「~おります」を用いて
「~となっております」や「~と思っております」
とするのが適切と考えます。

「~となってございます」や「~と思ってございます」という言いまわしは
「ございます」を付けておけば、丁寧に聞こえるからと
意味をなさないのに、とりあえず使っている印象を受けます。

また、「ございます」付けることで
断定するのを避けているようにも感じます。

文章にするとおかしな言いまわしと分かりますが
話し言葉だと、勢いに任せて
言う方は平気で使ってしまうのでしょう。
でも、聞く方には違和感が残ります。

こうした話し言葉(口語)は伝播力が強く、
間違っていても すぐに広がり、定着していきます。

「~させていただきます」の誤用が
その一例といえるでしょう。

でも、使い方がおかしいと違和感を覚える言葉遣いは
人が使っているからと、なんとなく流用するのではなく

疑問や違和感のまま終わらせず
調べ、考え、「自分は使わない」という選択肢を持つことが
必要と、私は思っています。

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