今週は、ラオス旅行の様子を特別編としてお伝えします。
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仕 事 の メ ー ル 作 法                < ラオス旅行記-番外編 >
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                          ラオスで読んだ本

旅行するときは、「旅先で読書だ」と張り切って本を持参するのですが、
大抵は読まずに持ち帰えってばかり。

旅先で読んでも、すぐ寝落ちして、
ろくに読まずに持ち帰ることが多いのですが
ラオスで完読した本があります。

橘玲の「80’s エイティーズ」

出発前に読み始めて、面白くて旅行中も時間を見つけては読んでいました。

橘玲って、お金の本書いている人というイメージしかなく
名前は知っていても、書籍を読むまでには至っていませんでした。

ところが、夫に薦められて読んだ「幸福の『資本』論」が
思いのほか刺さる内容で、興味がわき、その後買ったのが
「80’s エイティーズ」です。

1980年代はじめ、大学生だった橘さんが卒業後、出版業界に身を置き、
やがてフリーとなり、阪神大震災、オウム地下鉄サリン事件を経て、
過ごした1995年までをまとめたのが本書です。

橘さんが「作家になる前の、長い長い“80年代”の青春」を過ごし、
数多くの雑誌に携わっていた頃
わたしは広島でくすぶった青春をやり過ごし、
雑誌ばかり読んでは東京への憧れを募らせていました。

わたしがもっぱら「読む人」だった時代に、
少し年上の橘さんはすでに出版社や編プロで「書く人」で
雑誌を「作る人」だったわけです。

でも、
今や“「億万長者」になる方法を語る作家”となった橘さんにも
新雑誌の創刊に追われ、妻子の待つアパートに帰れず
やっと帰宅したら、生まれたばかりの赤ん坊を座布団の上に寝かせた妻から
「これからどうなるの?」
と訊かれる……年収120万円という時代があったとは。

本書には、当時の出版界、雑誌業界のにぎわい、
編集者やライターと呼ばれる人たちの仕事ぶりが
淡々とした筆致で描かれています。

「事実は小説より奇なり」と言いますが、
そんな事実がゴロゴロしていた時代。

 「バブルの時代」を回顧するときは、
 六本木のディスコや銀座のクラブ、地上げや株式会社の話になることが多いが、
 いまの時代とのいちばんのちがいは、
 「頑張って働けば結果が出る」という体験ではないだろうか。

という一節が本書にはあります。

わたしは社会人デビューが1989年で
わたしにとっての“青春”は90年代になるわけですが
バブル通過組として「頑張って働けば結果が出る」体験は、やはりあります。

でも、それは建設や金融業界の友人が高級料理店や海外で華やかに楽しんでいた
“体験”とは別で、仕事漬けで
お金はあっても使う暇がない、あるいは、使う暇がないからお金が貯まる
そんな日々。

深夜まで仕事をし、終電始発で会社に通い、
「なんだか芽が出ないなぁ」と自分にため息をつきながら
次から次へとくる企画ものの仕事に追われていました。

今で言えばブラック以外の何ものでもない職場だったのかもしれませんが
そこでは「頑張って働けば結果が出」ていて、
それは金銭面だけでなく、
その後の仕事の滋養になるような体験をたくさんしました。

今の自分を支えているのも、「頑張って働けば結果が出る」体験なのでしょう。

では、わが青春の「90年代」を振り返って
「80’s エイティーズ」のような
話を書けるかといえば、全く無理で

橘さんのようにクールに淡々とは
当時の自分をを振り返ることはできません。
そこが書き手としての一番の差でもあるわけですが
(橘さんと同列に自分を置くこと自体、おこがましい)。

橘さんの自伝的物語だけど
わたしと同世代、またはそれ以上の人は
当時の自分はどうだったか、置き換えながら読むと
色んな意味で味わい深く読めると思います。

人生はほろ苦いくらいがちょうどいいのだ。

橘 玲 著「80’s エイティーズ  ある80年代の物語」

装丁からしてかっこいいんです、この本。
手に取っただけで80年代の匂いがする感じ。

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【しごび】 の お す す め
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神垣が企画・編集を担当しました。

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あ と が き
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今回のラオス旅行で、個人的に印象的だったのは・・・

夕食後、メンバーと別れ、1人ホテルヘ向かう帰り道。
路地沿いのお寺の前を通りかかると
少年の僧がお経らしきものを1人で唱えていました。
お経というより歌のようで、1人で練習してるのか
そういうものなのか……
月夜に寺の階段に座り、オレンジ色の布をまとった少年僧の姿が
1枚の絵のようで、しばらく塀越しに見ていました。

もう一つは、メコン川クルーズ。
郊外にある絶壁に掘られた仏像を見に行くツアーの帰り
昼食後、川風に吹かれながらボートの席で昼寝。
これが実に気持ちよかったです。

次に長期旅行できるのは、いつの日か……。


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