今週は、読者から寄せられた敬語についての意見を紹介します。
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 仕 事 ‎Begin の メ ー ル 作 法 < 読者の気になる敬語(5)>
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                        「おります」問題

今週は敬語について読者の方から寄せられた声を紹介してきました。

<読者の声>———————————————————-

「おります」について、質問ではないのですが、モヤモヤした思いを吐露させ
てください。

相手の行為などに「おります」を付けた文章をもう何年も前から頻繁に目にし
ます。例えば次のようなケースです。

ア 講師のA様は、政府の審議会委員のほか、××などを歴任されております。
  (講師の紹介)

イ このたびB誌で連載を始めることになりました。この雑誌では既に先輩のC
  さんが連載を行っております。(社内向け掲示板で)

ウ (企業見学の時間について)10時30分~を希望されていらっしゃいますが、
  どのくらいの時間を予定しておりますか?

エ 貴社で提供されておりますWebサービスで、何かお困りのことはござい
  ませんか」(DMで)

オ 総理は常々、×××と言っております。
  △△省は×××と説明しておりますが、(国会質疑で質問者の発言)

カ 本日、(M社から)M社の製品に関する複数の脆弱性と修正プログラムが
  公開されております。

私は常々、相手や第三者の行為に「おります」を使うのはNGだと話しているの
ですが、あまりに頻繁に登場するため、自分自身が「おります」の用法を限
定的に考えすぎなのかと戸惑うほどです。

上のうち、カ)は謙譲語II(丁重語)とも取れますが、紛らわしいので私が
原稿チェックをしたときは「公開されています」と直しています。

不特定多数に向けた発信の中で謙譲語を使う必要はないと考えていますが、
似たような「おります」用例があまりに多くて、うっとうしいとさえ思ってい
ます。

神垣さんのご見解をぜひお聞かせください。  
                           (読者 A.Mさん)
———————————————————————-

「います」より「おります」の方がなんとなく丁寧な感じがすることから、
使われているのかもしれませんね。少し整理してみましょう。

・相手を敬う「尊敬語」の主語    → 相手
・自分をへりくだる「謙譲語」の主語 → 自分

・「いる」の尊敬語は「いらっしゃる」
  例)課長はいらっしゃいますか?
・「いる」の謙譲語は「おる」「おります」
  例)会場には私がおります。

というポイントを踏まえ、せっかくなので、上記の文例を確認してみましょう。

ア 主語は「講師のA様」なので、尊敬語を使い「歴任していらっしゃいます」

イ 主語は「先輩のCさん」なので、
  「連載をなさってます」「連載を続けて(担当して)いらっしゃいます」

ウ 主語が「見学者」か、「見学を受け入れる企業側の人」かによって
  文章が変わると思います。よく分からないので保留。

エ 貴社がWebサービスを提供するうえで、何かお困りのことはございませんか。

 「あなたの会社(=貴社)で困っていることは何ですか?」と問いかける文
  なので、このように書き換えるほうが分かりやすいと思いました。

オ 主語が総理なら「総理は常々、×××とおっしゃっています」と尊敬語。
  総理側の人が対外的に言うのなら「総理は常々、×××と言っております」
  と謙譲語。

  「△△省」が主語で事実確認するだけなら、敬語は不要で
  「△△省は×××と説明していますが、」

カ M社が主語であれば、A.Mさんが書いている通り「公開されています」が
  妥当と思います。

関連するバックナンバーの参考記事はこちら

▼「お客様がおります」< 気になる敬語(2)>VOL.2857

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