今週は、読者の方からの質問に回答します。
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仕 事 の メ ー ル 作 法 < 読者からの質問(3)>
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敬語の向かう先
<読者からの質問>————————————————
VOL.2359 の「敬語の向かう先は」という視点は、
今まであまり考えたことがなかったので、はっとしました。
(自分と自分の身内以外には、全てに対して敬語を使うものと、
なんとなく思っていました)
この点で、ちょうど私の会社の文書で気になったものがあります。
文書の内容は、お客様A社に対する文書で、
弊社と弊社のパートナー会社であるB社の両者のミスにより
A社にご迷惑をおかけしてしまったことをお詫びする内容です。
宛先はA社、差出人は弊社のみ(B社との共同文書ではない)です。
その文書の中で、B社に対して一貫して敬語が使われているのです。
もちろん、弊社対B社という2者間の場合は
弊社からB社に対して敬語は使いますが、
このVOL.2359を読んだあとでは、
この文書の中では第3者であるB社に対して敬語を使っていることが
気になってきました。
この文書はA社と弊社の2者間のものなので、敬語の向かう先はA社であり、
B社に対しては敬語は不要なのではないかと思えてきました。
ただ、B社はA社も知っている会社で、
「見ずしらすの会社」でもなく「直接関係がない」わけでもありません。
このような場合の「敬語の向かう先」は
どこと定めれば良いのでしょうか。
(読者 M.Sさん)
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M.Sさんが書いている通り、このケースでは
敬語の向かう先はA社です。
したがって
B社はA社に対しては「こちら側(=M.Sさんの会社側)」の存在ですので
A社に対する文章では、B社に敬語は使いません。
例えばこんな感じです。
「このたびの件につきましては
弊社のパートナーであるB社様からご連絡をいただけず
対応が遅れたため、(貴社には)大変ご迷惑をおかけいたしました」
という書き方は
A社宛ての文章なのに
B社に対しても敬語が使われていてNGです。
下記のように、B社に関する記述には敬語を使わず
事実のみ述べるに留めます。
「このたびの件につきましては
弊社のパートナーであるB社からの連絡が滞り
対応が遅れたため、(貴社には)大変ご迷惑をおかけいたしました」
このようなケースでは
B社に敬語を使っていないからといって
B社に失礼になるわけではありません。
敬語の向かう先(=立てる相手)は基本的に
一つだということを
気に留めておいていただけたらと思います。