今日は、読者のかたからの質問にお答えします。
◆────────────────────────────◆
   読 者 か ら の 質 問         「木を見て森を見る」?
◆────────────────────────────◆

<読者からの質問>—————————————-

このたび、知人からいただいた文章で
どうもよくわからない表現に出合いました。

「木を見て森を見る、ではなく、森を見て木を見る
最近、そんな意識変化の方も増えてきているように思います」

わたしは
「木を見て森を見ず」では?と思いましたが
そうなると意味が変わってきますし

そこから考えれば
言いたいことはなんとなく理解できます。

また、同じような使い方をされている方もいらっしゃる
ようですので、両方ありと認識しておけばよいのか?

よろしければ、ご意見お聞かせいただけましたら
ありがたく、お願い申し上げます。
(読者 M さん)
———————————————————-

慣用句として正しいのは「木を見て森を見ず」です。

これは、
英語のことわざ「You cannot see the wood for the trees.」
によるもので、
小さいこと(=木)に心を奪われて、
全体(=森)を見通さないことのたとえ。
細かい点に注意し過ぎて大きく全体をつかまないことを
意味します。

Mさんのお知り合いが
本来の「木を見て森を見ず」の意味を踏まえたうえで、
「木を見て森を見る」=細部を見てから、全体を見通す
「森を見て木を見る」=全体を見通してから、細部を見る
として使っているのであれば、
従来のたとえに基づく新たなたとえとして
受け止めることはできます。

しかし、本来の慣用句「木を見て森を見ず」を
「木を見て森を見る」と勘違いしたまま使っているのだとしたら
少々残念なことではあります。

私的なメールのやりとりでは、
もし、相手や自分が慣用句を勘違いしたまま使っていれば
指摘することもできますが、

仕事のメールや企画書、プレゼン資料などで
勘違いした慣用句を(堂々と)使っている場合は
その人の印象や評価に影響します(周囲もフォローしづらいです)。

したがって、慣用句を文章に使う場合は
その都度、辞書にあたり、本来の意味を確認することが重要です。
ネットで検索すると、誤用のまま文例として使われているケースも
多くあるので、まずは辞書にあたります。

先日、私自身も
「がぜん」を本来の意味である「急に、突然」ではなく、
「とても、断然」と勘違いして使っていたことを
当メールマガジンでも取り上げました。

このように言葉に対する長年の思い込みは、誰しもありうること。
だからこそ、辞書で確認し、
自分の記憶の誤りを更新することが必要、と感じています。

※参考
令和2年度「国語に関する世論調査」の結果について

 
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今日は、読者のかたからの質問にお答えします。
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読 者 か ら の 質 問 New     「木を見て森を見る」?
◆────────────────────────────◆

今回は過去の質問への回答ではなく、
先日、新たにいただいた読者のかたからの質問に回答します。

<読者からの質問>—————————————-

このたび、知人からいただいた文章で
どうもよくわからない表現に出合いました。

「木を見て森を見る、ではなく、森を見て木を見る
最近、そんな意識変化の方も増えてきているように思います」

わたしは
「木を見て森を見ず」では?と思いましたが
そうなると意味が変わってきますし

そこから考えれば
言いたいことはなんとなく理解できます。

また、同じような使い方をされている方もいらっしゃる
ようですので、両方ありと認識しておけばよいのか?

よろしければ、ご意見お聞かせいただけましたら
ありがたく、お願い申し上げます。
(読者 M さん)
———————————————————-

慣用句として正しいのは「木を見て森を見ず」です。

これは、
英語のことわざ「You cannot see the wood for the trees.」
によるもので、
小さいこと(=木)に心を奪われて、
全体(=森)を見通さないことのたとえ。
細かい点に注意し過ぎて大きく全体をつかまないことを
意味します。

Mさんのお知り合いが
本来の「木を見て森を見ず」の意味を踏まえたうえで、
「木を見て森を見る」=細部を見てから、全体を見通す
「森を見て木を見る」=全体を見通してから、細部を見る
として使っているのであれば、
従来のたとえに基づく新たなたとえとして
受け止めることはできます。

しかし、本来の慣用句「木を見て森を見ず」を
「木を見て森を見る」と勘違いしたまま使っているのだとしたら
少々残念なことではあります。

私的なメールのやりとりでは、
もし、相手や自分が慣用句を勘違いしたまま使っていれば
指摘することもできますが、

仕事のメールや企画書、プレゼン資料などで
勘違いした慣用句を(堂々と)使っている場合は
その人の印象や評価に影響します(周囲もフォローしづらいです)。

したがって、慣用句を文章に使う場合は
その都度、辞書にあたり、本来の意味を確認することが重要です。
ネットで検索すると、誤用のまま文例として使われているケースも
多くあるので、まずは辞書にあたります。

先日、私自身も
「がぜん」を本来の意味である「急に、突然」ではなく、
「とても、断然」と勘違いして使っていたことを
当メールマガジンでも取り上げました。

このように言葉に対する長年の思い込みは、誰しもありうること。
だからこそ、辞書で確認し、
自分の記憶の誤りを更新することが必要、と感じています。

※参考
令和2年度「国語に関する世論調査」の結果について
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/93398901_01.pdf

 
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今日は、「国語に関する世論調査」について取り上げます。
◆────────────────────────────◆
秋 の 特 別 編    < 2020年度の調査結果(5) >
◆────────────────────────────◆
「買ってやりたい」か「買ってあげたい」か

9月24日に、文化庁から発表された2020年度「国語に関する世論調査」
をもとに言葉の意味や用法を紹介してきました。

最終回も、調査と同じ質問に回答してみてください。

下記にそれぞれに挙げた二つの言い方のうち、
あなたが使うものはどちらですか。

(1)
(ア)植木に水をやる。
(イ)植木に水をあげる。

(2)
(ア)うちの子におもちゃを買ってやりたい。
(イ)うちの子におもちゃを買ってあげたい。

(3)
(ア)相手チームにもう1点もやれない。
(イ)相手チームにもう1点もあげられない。

「やる/あげる」について尋ねた質問です。

(1)の文について、「敬語の指針」(平成 19 年文化審議会答申)
では「植木に水をあげる」の「あげる」は、
・旧来の規範からすれば誤用とされるものである
・しかし、この語の謙譲語から美化語に向かう意味的な変化は
既に進行し、定着しつつあると言ってよい
としています。

(2)(3)についても同様に考えられています。

調査の結果では、
(2)「うちの子におもちゃを買ってあげたい」と言うと回答した
人が6割を超えています。
「買ってやりたい」として誤りではないにも関わらず
「買ってあげたい」を使う人の方が多いのは、
語感が丁寧で、美化語として使われる傾向が強いからでしょう。

私は、植木に「水をあげる」や、
自分の家族に対して「~してあげる」を使うことには
未だ抵抗があります。

しかし、「やる」が本来正しい使い方でも
「あげる」を使う人が増えれば、
「やる」は乱暴な言い方、丁寧さを欠く言い方として
捉えられていくのでしょう。

※参考
▼VOL.270 気になる言葉(3)「やる」と「あげる」

▼「あげる」「やる」< 気になる言葉(3)>VOL.994

▼最近気になる放送用語「~してあげる」? (NHK放送文化研究所)

 
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   今日は、「国語に関する世論調査」について取り上げます。
◆────────────────────────────◆
 秋 の 特 別 編    < 2020年度の調査結果(4) >
◆────────────────────────────◆
      「休ませていただく」か「休まさせていただく」か

先週の9月24日に文化庁から発表された、
2020年度「国語に関する世論調査」をもとに
言葉の意味や用法を紹介します。

調査と同じ質問に回答してみてください。

下記にそれぞれに挙げた二つの言い方のうち、
あなたが普通使うものはどちらですか。

(1)
(ア) こんなにたくさんは食べられない。
(イ)こんなにたくさんは食べれない。

(2)
(ア)明日は休ませていただきます。
(イ)明日は休まさせていただきます。

(3)
(ア)今日はこれで帰らせてください。
(イ)今日はこれで帰らさせてください。

(4)
(ア)担当の者を伺わせます。
(イ)担当の者を伺わさせます。

(5)
(ア)絵を見せてください。
(イ)絵を見させてください。

(6)
(ア)私が読ませていただきます。
(イ)私が読まさせていただきます。

本来の言い方は、「休ませていただきます」「帰らせてください」、
「伺わせます」、「読ませていただきます」のように「せ」は入れない。
動詞の未然形+使役の助動詞「せる」

(5)の「見せてください」と「見させてください」は、
どちらも文法的には問題のない表現です。

「見せてください」:
下一段活用の動詞「見せる」の連用形+接続助詞「て」
+「ください」

「見させてください」:
上一段活用の動詞「見る」の未然形+使役の助動詞「させる」
+「て」+「ください」

という違いがあります。

※参考
「省かさせていただきます」< 敬語の勘違い(5)>VOL.2756

「見させていただく」と「見せていただく」< 読者からの質問(4)>VOL.2760

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先週の9月24日に文化庁から発表された、
2020年度「国語に関する世論調査」をもとに
言葉の意味や用法を紹介します。

調査と同じ質問に回答してみてください。

下記にそれぞれに挙げた二つの言い方のうち、
あなたが普通使うものはどちらですか。

(1)
(ア) こんなにたくさんは食べられない。
(イ)こんなにたくさんは食べれない。

(2)
(ア)明日は休ませていただきます。
(イ)明日は休まさせていただきます。

(3)
(ア)今日はこれで帰らせてください。
(イ)今日はこれで帰らさせてください。

(4)
(ア)担当の者を伺わせます。
(イ)担当の者を伺わさせます。

(5)
(ア)絵を見せてください。
(イ)絵を見させてください。

(6)
(ア)私が読ませていただきます。
(イ)私が読まさせていただきます。

本来の言い方は、「休ませていただきます」「帰らせてください」、
「伺わせます」、「読ませていただきます」のように「せ」は入れない。
動詞の未然形+使役の助動詞「せる」

(5)の「見せてください」と「見させてください」は、
どちらも文法的には問題のない表現です。

「見せてください」:
下一段活用の動詞「見せる」の連用形+接続助詞「て」
+「ください」

「見させてください」:
上一段活用の動詞「見る」の未然形+使役の助動詞「させる」
+「て」+「ください」

という違いがあります。

※参考

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