メール対応や言葉について神垣が日々思うこと
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言 葉 コ ラ ム < 新年の挨拶に思う >
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年初に、企業などの年頭所感をチェックしてみました。
新聞や各社のWebサイトで冒頭の挨拶文を読み比べてみたのです。
当メールマガジンでは、2007年から
「新年明けましておめでとう」は
「新年」と「明けまして」が重複するので,
「新年おめでとう」あるいは「明けましておめでとう」
としましょう、と述べてきました。
▼VOL.508 意味が重なる表現< まどろこしい表現 >
ですから、各社の年頭所感にどの程度「新年明けまして」が
使われているかに興味があり、チェックしてみたくなったのです。
幾つか挙げてみましょう。
「2022年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます」
(KDDI株式会社)
「令和4年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます」
(生命保険協会)
「明けまして御目出度う御座います」
(SBIホールディングス)
比較的多かったのが
「謹んで新年のご挨拶を申し上げます」。
個人的に株を持っている某社の年頭所感も
「あけましておめでとうございます」
と、ごくシンプルでした。
ふむふむ。やはり上場企業のトップはわきまえている、と
感心していたのですが、意外な人の年頭所感が
「新年あけましておめでとうございます」
で、驚きを隠せませんでした。その人の名は……
岸田内閣総理大臣。
岸田内閣総理大臣 令和4年 年頭所感
自民党のサイトでも、岸田文雄総裁の年頭所感は
「新年あけましておめでとうございます」
で始まっていました。
同じ自民党でも、茂木敏充幹事長は
「あけましておめでとうございます」。
閣僚では萩生田光一経済産業大臣も
「令和4年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます」。
岸田さんだけが、重複表現と思われる「新年あけまして」を
使っているではありませんか。
これはぜひともメルマガネタにしなくては!
しめしめと一人ほくそえんでいたのですが……。
1月4日にメルマガ読者からのメールを読んで愕然。
そのメールにはこう書かれていました。
▼メルマガ読者 H.Iさんからのメール
年始からNHK TVで「新年あけましておめでとうございます」が乱発
されていて、これは重ね言葉の間違いでは? と思ったのですが、
NHKから『広く一般に使われているので、誤りとはいえないでしょう』
と公式ホームページに出ていて意外でした。
「新年あけましておめでとうございます」は重複表現?
確かに。
わたし自身も15年前に、メルマガに
「新年明けまして」と書いていたのを何人かの読者から指摘を受け、
改めた経緯があり、以来「新年明けまして」は重言だから、
気をつけましょうね、とメルマガで伝え続けてきたのですが、
完全な間違いではない、というNHKの見解。
え~っ、そうなの!? というのが正直な感想です。
わたしは長年、言葉の使い方について放送文化研究所(NHK文研)のサイトや
「NHK ことばのハンドブック 第2版」を参考にしてきたので、
上記のNHK文研の見解は意外でもあり、軽くショックでもありました。
▼放送文化研究所(NHK文研)
▼NHK ことばのハンドブック 第2版
年々、民放テレビやラジオなどで「新年明けまして」が頻繁に
使われていることを忌々しく思っていたのですが、
それでも問題ないとは……。
ただ、個人的には「新年明けまして」は意味が重なると思うので、
これからもわたし自身は使うのは避けるつもりです。
ちなみに、日本放送協会 前田晃伸会長の年頭所感の冒頭は
「あけましておめでとうございます」でした。
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