<読者からの質問>----------------------

私は「コールセンター」のバックヤードの
仕事をしてます。
実際にコミュニケーターがやり取りしている
言葉で、電話の声が相手に聞こえているか?
の確認の際に

「わたくしのお声が届いていますでしょうか?」

という対応がよく聞こえてきます。
この場合、自分の声が聞こえるか?の確認に
「お声が」ではなく「声が」ではないかと、
毎回違和感を抱いています。

これって、私の見解間違いでしょうか?

(読者 M.Hさん)

---------------------------------------

「わたくしのお声が
 届いていますでしょうか?」
という対応ですが、

M.Hさんのメールにある通り
「自分の声が聞こえるか? の確認」なので、
「お声が」ではなく「声が」とするのが正しいです。

文の主語が誰かを考えれば
「声が」に「お」をつける必要はない
と分かるのですが

お客様を主体に丁寧に言おうとすると
「誰が主語か」がこんがらかってしまうのでしょう。

「誰の声」かを明らかにするために

「お客さまにわたくしの声が届いておりますでしょうか?」

とすれば良いと考えますが
コールセンターの対応としては文が長いかもしれません。


相手(この場合、お客さま)の声を指すのであれば、
「声が」に「お」を付け、

「お客さまのお声が少々遠いのですが」

のように使います。
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同音異義語の使い分け、できていますか?
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間 違 え や す い 言 葉                               < 言葉の使い分け >
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「信条」と「身上」

「信条」と「身上」の使い分け、できていますか?

「信条」とは、信じている事柄。
類義語は、主義、方針、路線などです。

例)政治信条、信条を示す

「身上」は、身の上の事柄、とりえ。

例)身上書、真っ向勝負が身上

「身上」は退職や辞任の際に
「一身上の都合」というフレーズで使われます。

「しんじょう」にはほかにも
「心情」「真情」もあります。

「心情」は、心の中の思い。
類義語は、感情、情。

例)心情伝達制度、心情を察する

「真情」は、本当の気持ち。
類義語は、真心、誠意。

例)真情のこもった手紙、真情を吐露する

「信条」「身上」「心情」「真情」
意味を正しく理解して、使い分けましょう。

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「観賞」と「鑑賞」の使い分け、
できていますか?

「観賞」とは、見て楽しむこと。

 例)観賞用メダカ、和菊を観賞する

「鑑賞」は、芸術作品などを味わい、理解すること。

 例)鑑賞眼、名画を鑑賞する

映画の場合は「観賞」「鑑賞」どちらも使えます。
娯楽作品などを見て楽しむ場合は「映画観賞」。
映画が表現しようとするところをつかみとり、
そのよさを味わう場合は「映画鑑賞」。


「かんしょう」にはほかに
「観照」「勧奨」もあります。

「観照」は、客観的に見つめ、本質を思索すること。

 例)自己観照、人生を観照する

「勧奨」は、そのことをするようすすめ、励ますこと。

 例)特定健診の受診勧奨、納税を勧奨する

ビジネスメールに「観照」を使うことはあまりありませんが
「勧奨」は公用文でよく使われます。

「観」と「勧」の打ち間違いに注意しましょう。
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同音異義語の使い分け、できていますか?
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 間 違 え や す い 言 葉                                      < 読みの違い >
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◎「首長」の読み

「首長」の読みは「しゅちょう」
だと思っていました。

ところが、音声メディアで「くびちょう」
と読んでいたので、
どのような違いがあるのかを調べてみました。

まず「首長(しゅちょう)」の意味から。
デジタル大辞泉によると、

1)集団・組織を統率する長。かしら。おさ。

2)行政機関の独任制の長官。
  特に、内閣の代表者としての内閣総理大臣。
  都道府県知事・市町村長などをさすこともある。

3)カタールやクウェート、またアラブ首長国連邦を構成する各首長国の元首の称。

と3つの意味があります。

同じくデジタル大辞泉では、
「くびちょう」と読むのは、
2)の都道府県知事・市町村長などをさす場合。

その意味としては、
「しゅちょう(首長)2」に同じ。
「市長(しちょう)」と混同を避けるための語という。

とあります。
いわゆる、お役所言葉の一種なのでしょう。

▼参考   漢字文化資料館「漢字Q&A」


似た言葉との混同を避けるため、別の読みにする、という点で
客先の会社のことを口頭では「貴社」ではなく

「御社」と呼び、使い分けるのと似ています。

▼相手の会社の呼称< 適切な呼称(2)>VOL.577

 

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メール対応や言葉について神垣が日々思うこと
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言 葉 コ ラ ム NEW
◆────────────────────────────◆

本日の配信で、当メールマガジン
4500号を迎えました。

初期から読んでくださっているかた、
最近から読んでくださっているかた、
すべての読者の方々に心からお礼を申し上げます。

2025年、創刊20周年を迎えるわけですが
創刊時は39歳だった私も来年は59歳。

メールもメールの使い方も
メールを取り巻く環境も
20年で変わりました。

個人的に
メールには絶対的なルールはない
と思っています。

ルールのようなものがあったとしても
20年前と現在では、ルール自体が変わってきています。

例えば、メールの開封確認。

20年前は
「メールの開封確認をすべきでしょうか」
という質問が当メルマガに複数寄せられていました。

でも、今は
開封確認を求めるメールを見かけません。

このように
20年前に通用したルールが
今は陳腐化しているケースも少なくありません。

メールをはじめとする
デジタルなコミュニケーションは
日進月歩で進化しているのですから。

ビジネスメールにおいて20年前は
お手本とする定型文や美文が求められていました。

でも、今は、形式より中身。

いかに、的確に、無駄なくスピーディーに
処理・対応できるメールであるか、
がポイントです。

例えば
メールの冒頭の定型文
「いつもお世話になっております」。

わたしは懇意な客先には
使わないことが増えてきました。

代わりに、

「早速、ご返答いただき、ありがとうございます」

「〇〇の件についてご連絡いただき、ありがとうございます」

といった一文を使うことが多いです。

形式的な「いつもお世話になっております」
は1通目のメールだけでよく、
後のメールのやり取りには不要
と思うからです。

というか、書いたところで意味をなしてなく
入力する時間がもったいないとさえ思います。

メールよりビジネスチャットの使用頻度が高い職場では、
もうとっくに
「いつもお世話になっております」は
使われなくなっているのではないでしょうか。

このように
コミュニケーションの進化に伴い
古いルールに縛られず、
自分と相手にとってより良いルールに最適化していくのが
「現在のメール作法」。

当メールマガジン
日々、アップデイトしながら
最適なコミュニケーションの方法をお届けしていきたいです。

これからも
【仕事のメール心得帖】
よろしくお願いいたします。

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言葉について徒然なるままに
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言 葉 コ ラ ム        < AIでできること、できないこと
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AIで生成されたイラストをよく見かけるようになりました。
同様に、文章もAIで生成できます。

いわゆる型通りの文章は、AIを使ってスピーディーに作成できますし、
状況に応じた指示をすれば、“伝わる”文章も作ってくれます。

▼参考記事
心の通ったメールも1分で完成!
ChatGPTを使って御礼や謝罪メールを作る方法

このように
イラストを「描く」ことも文章を「書く」ことも
AIが代替してくれ、それを人が利用するという流れは今後、
もっと増えていくでしょう。

文章に関して言えば、これまで仕事のやりとりで、どう書いてよいか悩み、
時間がかかっていたメールの文章も
AIに指示すれば、整った文をすぐに送信できるようになるでしょうし
すでに利用している人もいるかもしれません。

AIで文章を生成することで、
本来、自分がすべき業務に集中、注力できるならば、大いに活用すればよい、
と個人的には思っています
(ただ、AIで文章を生成するにもテクニックは必要)。

一方で、では、AIで下記のようなメールが書けるだろうか、とも思います。
▼【全文公開】孫正義のスカウトメールに学ぶ「人を動かす伝え方」

画像にある孫正義氏からのメール文。

冒頭は「嬉しく思ったよ」と口語文、
その後に「覚悟です」「出来ません」「幸運なことです」「期待しています」
という文が続き、最後も「がんばろう!」と呼びかける口語文。

「日本のブロードバンドの夜明けのために命をささげる覚悟です」の「ささげる」は
平仮名になっていますが、
AIが書いたら「捧げる」と漢字になっているでしょう。

孫さんのメール文にあって、
AIで生成した文章にないもの。

それは相手に伝えようとする「熱量」。

語りかける口語文と「ですます」調の文が入り混じって生まれる文章のリズム。
漢字変換されてない「ささげる」の文字からは、一気に入力したことが伺えます。

文章としては、ある意味、いびつでアンバランス。
だけど、会食した後、この文面が孫さんから送られてきて
心動かされない人はいないでしょう。

人の感情はきちっと整えることはできません。
天気だとか、会った人だとか、起きた出来事に影響を受けて
都度、揺らぎ、制御がきかいないこともある。

きちんと整ったお手本のような文章はAIで生成できますが
人が持つ熱量やパッションを言葉にすることまではAIにはできません。

学校でも社会でも
整えること、整うことを教えられ、求めらてきたわけですが

人に代わってAIが整えてくれることが増えれば
逆に人は、整わなくてもよいのでは?

例えば、整然と線を引くことはAIに任せ
ペンを持つ筆圧で変わる線の太さや細さ、
癖のある字といった整えようのないものが人が醸し出す“味”として
注目されるようになるかもしれません。

パソコンで打った活字が浸透しきった今
手書きの文字が新鮮に映るように。

文章も、
捉えどころがない感情をどのように表現するか
その人にしか書けない表現力とか、創造力が
一層求められていく気がします。

そのためには
感情を動かす体験をより多くし、
それを言葉にして伝える訓練を積むことが必要。

AIにやすやすと作られてしまうような
整った文章を書いている場合ではないのかもしれません。

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