言葉について徒然なるままに
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言 葉 コ ラ ム < AIでできること、できないこと >
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AIで生成されたイラストをよく見かけるようになりました。
同様に、文章もAIで生成できます。
いわゆる型通りの文章は、AIを使ってスピーディーに作成できますし、
状況に応じた指示をすれば、“伝わる”文章も作ってくれます。
▼参考記事
心の通ったメールも1分で完成!
ChatGPTを使って御礼や謝罪メールを作る方法
このように
イラストを「描く」ことも文章を「書く」ことも
AIが代替してくれ、それを人が利用するという流れは今後、
もっと増えていくでしょう。
文章に関して言えば、これまで仕事のやりとりで、どう書いてよいか悩み、
時間がかかっていたメールの文章も
AIに指示すれば、整った文をすぐに送信できるようになるでしょうし
すでに利用している人もいるかもしれません。
AIで文章を生成することで、
本来、自分がすべき業務に集中、注力できるならば、大いに活用すればよい、
と個人的には思っています
(ただ、AIで文章を生成するにもテクニックは必要)。
一方で、では、AIで下記のようなメールが書けるだろうか、とも思います。
▼【全文公開】孫正義のスカウトメールに学ぶ「人を動かす伝え方」
画像にある孫正義氏からのメール文。
冒頭は「嬉しく思ったよ」と口語文、
その後に「覚悟です」「出来ません」「幸運なことです」「期待しています」
という文が続き、最後も「がんばろう!」と呼びかける口語文。
「日本のブロードバンドの夜明けのために命をささげる覚悟です」の「ささげる」は
平仮名になっていますが、
AIが書いたら「捧げる」と漢字になっているでしょう。
孫さんのメール文にあって、
AIで生成した文章にないもの。
それは相手に伝えようとする「熱量」。
語りかける口語文と「ですます」調の文が入り混じって生まれる文章のリズム。
漢字変換されてない「ささげる」の文字からは、一気に入力したことが伺えます。
文章としては、ある意味、いびつでアンバランス。
だけど、会食した後、この文面が孫さんから送られてきて
心動かされない人はいないでしょう。
人の感情はきちっと整えることはできません。
天気だとか、会った人だとか、起きた出来事に影響を受けて
都度、揺らぎ、制御がきかいないこともある。
きちんと整ったお手本のような文章はAIで生成できますが
人が持つ熱量やパッションを言葉にすることまではAIにはできません。
学校でも社会でも
整えること、整うことを教えられ、求めらてきたわけですが
人に代わってAIが整えてくれることが増えれば
逆に人は、整わなくてもよいのでは?
例えば、整然と線を引くことはAIに任せ
ペンを持つ筆圧で変わる線の太さや細さ、
癖のある字といった整えようのないものが人が醸し出す“味”として
注目されるようになるかもしれません。
パソコンで打った活字が浸透しきった今
手書きの文字が新鮮に映るように。
文章も、
捉えどころがない感情をどのように表現するか
その人にしか書けない表現力とか、創造力が
一層求められていく気がします。
そのためには
感情を動かす体験をより多くし、
それを言葉にして伝える訓練を積むことが必要。
AIにやすやすと作られてしまうような
整った文章を書いている場合ではないのかもしれません。
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神垣あゆみ企画室