【 言葉コラム 】
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■「よろしかったでしょうか」
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創刊当初の2005年に読者の方からの質問に回答している記事を
紹介します。
▼再掲
<質問>——————————–
最近、ファストフードなどで時々
「ホットコーヒー一つ」と言うと
「はい、ホットコーヒーをお一つ。
…ご注文は以上でよろしかったですか?」
なんでここで過去形なんでしょう?
「以上でよろしいですか?」で問題ない、と思うんですが。
あるいは
「お召し上がりは店内でよろしかったですか?」
と、まだこっちがどちらとも言ってないセリフを先回りされた上に
過去形で聞かれます。
これは過去形にした方が丁寧になる、と思っているためなのでしょうか?
あるいは、実際この方が丁寧で、
目くじら立ててる私の方がおかしいのでしょうか?
(読者 T.T様)
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「~よろしかったですか?」は本来、確認や念をおす時に使う表現ですが、
対面して注文しているのに、過去形での確認は違和感を覚えます。
注文後、時間が経過してからの確認なら、いざ知らず。
こちらがまだ意思表示をしていない段階で
「お召し上がりは店内でよろしかったですか?」
と確認されるのも、押し付けがましさを感じます。
一見、丁寧なようで、暗に行動を強いている印象があります。
客との前後の対応を基に確認する「よろしかったですか?」ではなく、
一律に言っていることに違和感を覚えるのでしょう。
NHK放送文化研究所のサイトに参考事例として、
「よろしかったでしょうか?」の解説がありましたので、紹介します。
ことばQ&A
▲再掲ここまで
この記事を書いてから21年経った現在
いきなり過去形で問われる「よろしかったですか?」に
2005年時ほど、ひっかかりや違和感を覚える人は
少なくなっているのではないでしょうか。
「ご注文は以上でよろしいですか?」
「お召し上がりは店内でよろしいですか?」
と、本来は現在形で差し支えない言い回しを言う方は丁寧だと思って
「よろしかったですか?」と過去形にして使っている。
この使う側と使われる側の思いがずれたまま20余年が経過し
今、店頭で
「ご注文は以上でよろしかったですか?」
「お召し上がりは店内でよろしかったですか?」
と普通に使われている。
それだけ「よろしかったですか?」が
“丁寧な言葉遣い”として受け入れられ
日常に浸透しているからでしょう。
言葉の本来の意味や正しい使い方が
時と共に変わっていく一例と言えます。
こうして言葉は変わっていく……
なぜなら、言葉は生き物だから
と言われますが、
本来の使い方ではない言葉が
みんなが使っているからとか、よく聞くからと
疑問や違和感なく浸透していくことが私は少し悲しいです。
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