今週は、堅苦しい表現の言い換えについてです。

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仕 事 の メ ー ル 作 法        < もっと易しく(5)
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書き言葉か話し言葉か

▼ 文語だけでも口語だけでもつらい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今回、とりあげた堅苦しい表現の大半は「書き言葉」です。文語自体、日
常の話し言葉(口語)と区別し、文章を書くために使われる言葉として発
達してきたものでもあります。

文語・漢語的な表記の多いお役所言葉は、声に出して言うと「?」と思っ
てしまう言葉も少なくありません。テレビのニュースで耳にする「遺憾」
「補填(ほてん)」「漏洩(ろうえい)」、清涼飲料のCMでやっていた
「可及的速やかに」などがその典型でしょう。

広告やチラシ、雑誌なども口語的な表現が増えてきました。漢字よりもひ
らがな、日本語よりも英語を使う傾向が強まっています。

活字離れを食い止め、易しく分かりやすく伝えるために必要な手段である
には違いありません。ですが、すべてが口語調でもつらいものがあります。

TPOに合わせて着るものを選ぶように、仕事とデートの時とで雰囲気を変え
るように、文章も読む相手を意識して変えていくことは必要ですよね。

契約書が口語文でも違和感ありますし、ラブレターが文語調でも引いてし
まいます。

▼ 自分の言葉をチェックする
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
堅苦しい言葉をすべて易しく言い換えましょう、と言いたいのではありま
せん。

十把ひとからげに言葉を「難」から「易」に統制するのではなく、その都
度、目的や相手に合わせた文章表記を考え、その中で、形式化したものは
見直し、言い換えていく。

その方法を知っておいてよいと思うし、日ごろから相手にわかりやすい言
葉を意識し、どう表現するのがよいか考えることが生きた言葉の使い方だ
と思っています。

今回、堅苦しい表現をいろいろチェックしていく中で、私自身、よく使っ
ているものも多かったです。頼りがちなフレーズ、格好つけるために好ん
で使っていた表記に気がつきました。

自分の書き方が小難しくなっていないか、振り返って矯正することも必要
ですね。

滋賀県の「『役所ことば』改善の手引」サイトに「見直したい役所ことば
と言い換え例」というページがあります。あなたもチェクしてみませんか?

※(参 考)見直したい役所ことばと言い換え例

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今週は、堅苦しい表現の言い換えについてです。

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                          あいまいな表現

 ▼ 言葉で逃げてない?
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 お役所ならではの定番フレーズとしてよく見かけるのが

   前向きに検討します。
   鋭意努力いたします。
   所用の措置を講じます。

 など。一見、「いかにもやってます」という雰囲気は字面から漂ってきま
 すが、
 「前向きにっていつ?」
 「鋭意って、具体的には何を?」
 「所要の措置ってどんな措置?」
 という素朴な疑問もわいてきます。

 こうした定番フレーズは、体のいい逃げの表現という印象も否めません。
 実際に、検討、努力をしたり、措置をとるのなら、具体的にどこまで、
 何が、どのよう進んでいるかを記述する方が納得いきます。

 ▼ ここでも言葉のダイエット
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   協議を行います。
   よろしくお取り計らい願います。
   対応が十分ではなかったと認めざるを得ません。

 なども、持って回った言い方より

   協議します。
   出席をお願いします。
   対応が十分でないところがありました。

 と言い換えてたほうがすっきりして、意味も真意も通じます。
 建て前だけの定番化した表現に逃げず、普通の言葉で端的に言い換えると、
 文字数も気持ちもスッキリします。

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文語的な表現

▼ 口語文に交じっている文語
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「許されざる者」
「ロシアより愛をこめて 」
「誇り高き男」

文語調にすると雰囲気があって格好よく響きます。映画のタイトルは一目
瞭然ですね。

一般の文章にも口語文に交じりやすい文語調の言葉があります。助詞、助
動詞に多く見られるので例を挙げてみましょう。

■助詞の書き換え

会場にて → 会場で
 ̄ ̄      ̄
心よりお悔やみ → 心からお悔やみ
 ̄ ̄         ̄ ̄
15時より開始 → 15時から開始
 ̄ ̄        ̄ ̄
うらやましいとすら思う → うらやましいとさえ思う
 ̄ ̄             ̄ ̄
想像だにできない → 想像もできない
 ̄ ̄          ̄

■助動詞の書き換え

協力されたし → 協力してほしい
 ̄ ̄ ̄ ̄      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
思わしめる → 思わせる
 ̄ ̄ ̄      ̄ ̄
適用せん → 適用するだろう
 ̄ ̄      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
例のごとく → 例のように
 ̄ ̄ ̄      ̄ ̄ ̄
日本のみならず → 日本だけでなく
 ̄ ̄         ̄ ̄
実現すべく →実現するために
 ̄ ̄      ̄ ̄ ̄ ̄

▼ 会社案内用語!?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
形容詞は「い」を「き」、「しい」を「しき」とすると文語調になります。
良き日 → 良い日
由々しき事態 → 由々しい事態

形容動詞に意外とよく使いますね。
新たに → 新しく
主たる → 主な
確たる → 確かな

これらの表現を頻繁に使うのが会社案内。

中小企業の会社案内には「21世紀に躍進すべく」「新たな挑戦」といった
定番フレーズが必ずと言っていいほど並んでいます。

言葉は格調高そうですが、意味としては抽象的。この手の言葉は形式化し
て使い古された感があり、心には響いてきません。もっと普通の言葉で実
のある表現を考えたいですね。ビジネス文書にも権威づけについ使ってし
まいがちなのでご注意を。

上記の映画名を平易に言い換えると…

「許されない者」
「ロシアから愛をこめて 」
「誇り高い男」

タイトルとしてはしまりませんね。

タイトルやキャッチコピーなど、短いフレーズに文語調の表現を使うとイ
ンパクトがありまが、メールやビジネス文書に多用すると高圧的。
効果を考えて使いわけましょう。

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今週は、堅苦しい表現の言い換えについてです。◆────────────────────────────◆
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                    二字漢字の言い換え

▼ 堅苦しく感じる漢字二字言葉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
メールマガジンの相互広告の依頼でよく目にするのが「貴誌」。

相手の会社のことを「貴社」、相手のことを「貴殿」と書くことから、相
手のメルマガもマガジン=雑誌と捉え、貴誌としているのでしょう。

相手の敬意はありがたいものの、好き勝手に書いてる自分としては「そん
な大げさなもんじゃないのに…」と恐縮する気持ちも強いです。

個人と個人のやりとりなら

貴誌との相互広告 ⇒ あなたのメールマガジンとの相互広告

と言い換えてもいいのではないでしょうか。

このように堅苦しく感じる漢字二字の言葉を言い換えてみましょう。

若干    ⇒  幾つかの
当該    ⇒  その、当の
逐次    ⇒  次々に、だんだん
同一    ⇒  同じ
諸般の   ⇒  さまざまな

形式化したフレーズも見直してみましょう。
決まり文句のようになっている下記の言葉も…

衷心より希望        ⇒ 強く希望
万全を期す         ⇒ 間違いがないようにくれぐれも注意して
格段の御高配を賜りますよう ⇒ ご配慮を
万障お繰り合わせの上    ⇒ 差し支えなければ

と、言い換えられます

▼ 「殿」か「様」か
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「貴殿」に関連しますが、敬称を「殿」とすべきか「様」とすべきか迷う
ことがあります。

法令で定めた様式や社内で形式化している場合を除いて、「様」が一般的
になっているようです。

公文書に使う敬称を「殿」から「様」に統一している自治体もあります。
賞状や感謝状でも「殿」から「様」、場合によっては「さん」とするケースも。

個人宛の場合は「様」で問題ありません。相手に役職がある場合も「総務
部長 山本一郎様」というふうに「役職+名前+様」と書くとよいでしょう。

相手と親しくなるにつれ、メールの宛名が「様」から「さん」へ変わって
いくのは、個人的にはうれしいプロセスです。

 
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お役所言葉の不思議

▼ 良く言えば格調高く、悪く言えば仰々しい
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市町村合併により、市勢要覧や町勢要覧も一新されます。仕事を請け負う
ことも多いのですが、お役所から提供される資料や元原稿のほとんどが独
特の言い回し。堅苦しい「お役所ことば」のオンパレードです。

もともと公用文自体が常体(文末が「だ」「である」で終わる文章の書き
方)で書かれているし、法令に基づく業務ということもあり、「供用」
「当該」といった官庁用語も頻繁に出てきます。「前向きに検討する」
「等」といったあいまいな表現、「行う」「実施」「推進」などの定番フ
レーズも得意とするところ。

お役所ことばに堅苦しさを感じるのは、文語や漢語調の表記が多いからで
す。文語とは古い時代の言葉。漢語とは中国起源の字音語(音で読まれる
語)。

文語・漢語調の文章は、良く言えば格調高く、悪く言えば仰々しく威圧的
な印象があります。私自身も、気の張る相手に改まった文章を書くときは、
文語・漢語調の表記をつい使っています。教養が高そうに見えるからです。

▼ 難しいことを易しく伝える方が難しい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
最近では、そんなお役所ことばを改善する動きもあり、自ら改善の手引な
どを作成する自治体も増えてきたようです。要覧の原稿制作でも、お役所
からは「分かりやすく言い換えてください」という指示がありました。

文語・漢語調の表現も部分的にさらっと取り入れれば、文章を引き立てる
スパイスになりますが、多用はケガのもと。命令調になってしまったり、
気取っている、偉そうだと、マイナスの印象を残したのではもともこもあ
りません。

ビジネスメールでも易しく、分かりやすい表現が一番です。難解な言葉を
多用し、言葉で格好つけるより、誰にもわかる平易な言い方で本意を伝え
ることのほうが実は難しいもの。

今週は、堅苦しいお役所ことばに喝を入れ、易しく言い換えてみましょう。

余談ですが…
【ニュースに見る「お役所の不思議」】 というメールマガジンをご存知
ですか? 今日のサブタイトルに似てなくもありませんが、こちらは、時
事ニュースからお役所の納得できない不思議な対応をメッタ斬り。お役所
ことばには触れてませんが、【しごび】の次にタメになります。

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すっきりスリムなメールの書き方の最終回です。

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仕 事 の メ ー ル 作 法       < メールのダイエット(5)
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                    究極のダイエット法!
▼ 読み返してぜい肉チェック!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
メールをすっきりスリムにするのにテクニックは要りません。

誰にでもできます。書いた文章を一度読み返せばいいのです。

ダイエットする時も鏡の前でボディチェックするように、書いた文章をも
う一度読み返して総点検。言葉の繰り返し、不要な接続語や修飾語、遠ま
わしな言い方やあいまいな表現といった「ぜい肉」が見つかります。

メールに限らず、ビジネス文書も企画書も、一度書いたものを読み返す習
慣をつけましょう。

長い文章を書くと、すぐには冷静に自分の書いたものをチェックできない
ことがあります。そんな時は少し時間を置いて読み返します。メールであ
れば深夜に書いたメールはすぐ出さず、翌朝に読み返してみてください。
まず、そのまま出せるメールはありません(経験者は語る)。

▼ 書いてから、引き締める
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
メールの文章に大切なのは、表現のうまい下手ではありません。最も言い
たいことを相手に分かりやすく簡潔に伝えられるか、です。

最初からスリムな文を書こうとせず、一度まずは書いてみて、書いたもの
は読み返す、その習慣をつけること。

相手はどう読むか、どう感じるかを意識して読み返せば誤解を招きそうな
表現、余分な言葉が必ず見つかります。無駄な言い回しや言葉というぜい
肉を削ぎ落とし、引き締める、その繰り返しです。

もう一つ、気に留めておくと良いのが文章の「リズム」。

センテンスは短めに、一文の最後の表現を同じ調子にならないように工夫
するだけで、文章の歯切れがよくなります。

「です」「ます」や「である」ばかりで書き立てるのではなく、体言止め
にしたり、「ですね」と呼びかけるような対話調にしてみたり…。文尾が
一本調子にならないよう変化をつけると、見違えるようなテンポのある文
章に変わるんですね。

私見ですが、音楽好きな人は文章にリズムのある人が多いです。常に音を
意識しているからかもしれません。

「推敲」に相当する英語は「polish =磨きをかける」。

普段書く文章だからこそ読み返してチェックする。その積み重ねが、タイ
トで的を射た文章を書く訓練になっていきます。

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