今週は、感じのよいビジネスメールへの書き換え指南です。
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仕 事 の メ ー ル 作 法                                        < 書き換える技術
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親しみのわく文章

下記はあるグループのお知らせメールです。
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(中略)

今月は、市の○○福祉月間事業もあり、
私たちのグループも関わらせていただきます。
気軽に参加して、ちょっとためになる楽しい企画を考えていますので
良かったら、遊びにおいでくださいね。
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謙遜する気持ちから使われることの多い「~(さ)せていただきます」。
しかし、書き言葉になると、意志表明のような強い調子の文章になり
がちです。
文の前半はかたい表現で、後半は話し口調になっているのも気になります。

読みやすく書き換えてみましょう。
—————————————————————–
(中略)

今月は、市の○○福祉月間事業があり、
私たちのグループもイベント企画のお手伝いで参加します。
みなさんが気軽に参加できて、
ちょっとためになる楽しい企画を考えていますので
ぜひ、遊びに来てくださいね。
—————————————————————–

最初の文では「私たちのグループ」がどんなことに「関わる」のか分か
らなかったかったので、書き換え後の文では「イベント企画のお手伝い」
という一文を付け加え、具体的に表現してみました。

「~せていただきます」も「参加します」と書き換えましたが、違和感は
ないと思います。

二つめの文に「みなさんが」と対象を書き添えることで、一文がまとまり
呼びかける感じの文章になったのではないでしょうか。

誰に何を伝えたいのか、目的に合わせ、易しい表現、呼びかける調子の文
章を意識すると親しみのわく一文になります。

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今週は、返信の際の件名についてです。
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 仕 事 の メ ー ル 作 法     < 返信時の件名(5)
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                         件名もメッセージ

 私信に多いのですが、これといった重要なことではないけれどメールでお
 知らせ、という場合、件名も「こんにちは」「ご無沙汰しています」とい
 うあいさつ調になったり、「○○○です」と名前を名乗ってしまうことが
 あります。

 それほど気の張ったメールのやり取りではないので、「Re: 」でそのまま
 返信してもいいのですが、私は

 「お便り、ありがとうございます」

 という件名にして返信することが多いです。

 このメルマガにお便りをくださった読者のかたへの返信にもこの件名を使っ
 ています。なんでもないひと言ですが、「Re: 」でそのまま返信するのは
 味気ないなと感じるときに、重宝に使えるフレーズです。

 ▼ なおざりでない返信を
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 読者からのメールで面白いなと思ったのが
 「Re: 」の部分を漢字で「返: 」に設定していたメール。
 旅行会社にお勤めの男性読者なのですが、ご本人曰く

 > 旅行の見積り依頼なんて、同じ文面で何社(何十社?)にも送っている
 > ことは確かなので、返信するのにちょっとでも目立つようにと
 > 工夫しています。

 とのこと。これはユニークなアイデアだと思いました。
 実際、メールボックスの中でもとっても目立っています。

 仕事のメールでも私信でも、返信は「Re: 」でほとんどの場合事足ります。
 それを敢えて書き換えるのは、少しでも相手の目に留めてもらいたい、
 他のメールより際立たせたい、という思いがあるからではないでしょうか。

 「Re: 」での返信が適切な場合、書き換えてOKな場合とを見極め、
 相手に「おっ」と思わせる工夫を施すのも楽しいものです。

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今週は、誤解されやすい数字の書き方についてです。
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 仕 事 の メ ー ル 作 法       < 注意したい数字表記
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                          数値の幅を示す

 メールに限らず文章に数字を意識的に使うと説得力が増します。
 「多数の読者」と書くより「6500人の読者」
 「もうすぐできます」より「3日以内にできます」

 このように数字に置き換えることで、現状が把握できたり予測が可能にな
 ります。

 逆に、特定したり、確約したくない場合は数値を示さず、あいまいに表記
 しておくという方法もあります。

 日々のメールのやり取りで、意味のとり違いや誤解を招く数字の表記につ
 いて今週はとりあげます。

 ▼ 数字の幅を示すときは数字を省かない
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 いくつからいくつまでと数値の幅を示すときに「~」や「-」を使います。

 たとえば「20万円から30万円」と金額の幅を示す場合、
 「20万~30万円」「20万-30万円」と書くのが一般的です。

 しかし、これを「2-30万円」と書くと「2円から30万円」という意味にも
 取れます。

 同様に「250~255円」「250-255円」と表記するところを、
 共通する「2」の数字を省略して
 「250~55円」「250-55円」と表記すると誤解を招きやすいです。
 数字の幅を示すときは数字を省かず列挙するほうが正確に伝わります。

 話し言葉では「に、さんじゅうまんえん」として意味が通じるので、
 書き言葉でも「2、30万円」「二、三十万円」と表記しますが、
 上記と同様の理由で取り違えやすいので注意しましょう。

 洋数字を縦書きにした場合、漢数字を横書きにした場合とでは、
 見た目の印象が違って見え、意味の誤解を招く可能性もあるからです。

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今週は、読んでスッキリしない表現についての考察です。
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 仕 事 の メ ー ル 作 法             < まどろこしい表現
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                          意味が重なる表現

読んでスッキリしない文章というのは、無駄な装飾や言い回しが多く、何
が言いたいのかがぼやけている場合にそう感じます。

例えば、同じ意味合いの言葉を重ねて表現している場合。

被害を被る
後で後悔する
広島に来広

※字を読むと意味の重なりがわかるのですが、
話し言葉ではつい使いがちです。

まず最初に
すべて一任する
すべて網羅されている

※「まず」は「最初」に、「すべて」は「一任」「網羅」に
意味が含まれます。

お中元(歳暮)の贈り物
思いがけないハプニング

※お中やお歳暮そのものが「贈り物」を、
「ハプニング」は「思いがけない」ことを表します。

私が今年初めのこのメルマガでしでかした失敗は
「新年明けましておめでとうございます」です。

読者からの指摘で気がついたのですが、「明ける」とは「旧年から新年に
なる」という意のため、「明けましておめでとうございます」に「新年」
は重ねて使わないのが一般的(諸説あるようですが)。

このように意味が重なったまま、うっかり使っている表現は意外とありま
す。自分では気づかないことも多いです。読み返して「ん? 何か変だ」
と感じたら、すぐに辞書や用語集で調べてみましょう。

 
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今週は、注意を要する言葉についての考察です。
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   仕 事 の メ ー ル 作 法          < 気をつけたい言葉(5)
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                            「彼女さん」

最近、目にしたり耳にすることが多くなった言葉に「彼女さん」がありま
す。

「彼女」や「彼氏」に「さん」をつけるのに違和感を覚える人と、
気にならない人に分かれるようです。

気にならない人は、「奥さん」「弟さん」と同じ感覚で使っているのでしょう。
特に、年上の相手の彼女や彼を呼ぶ場合の敬称のような役割で
「さん」をつけることが多いと感じます。

「彼女」「彼氏」は名前に代わる言葉なので、
「さん」を付けるまでもないのでは? と
私は感じています。

社内で上司のことを「部長」「課長」と役職名で呼ぶように、
「彼女」「彼氏」も呼び名の1つと思うからです。

名前が分からない場合は別として、
「○○先輩の彼女さん」というのであれば
「○○先輩の彼女の△△さん」
と言い換えてもいいのではないでしょうか。

役職のある相手の宛名を書くとき
「XXX株式会社 部長 ○○様」
と書くように…。

前回、紹介した「させていただく」は
テレビから波及したのでは? という指摘を
読者のかたからいただきました。

今回取り上げた「彼女さん」「彼氏さん」は
ブログやメール、SNSなど、インターネット
から波及した特有の表現のように感じます。

あなたはどう思いますか?

<追記>2022.05.02
上記は、15年前に書いた記事ですが
「彼女さん」「彼氏さん」という呼び方は
今やネットショップなどでも使われています。

「精選版 日本国語大辞典」によると
『日本では古くから三人称は「かれ」で、
 男女両性を指していたが、西欧語に接して、男女の区別が必要となり、
 西欧語の三人称女性代名詞の訳語として生まれた』
 のが「彼女」とあります。

代名詞に「さん」を付ける必要があるのでしょうか。

▼参考記事

 
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今週は、注意を要する言葉についての考察です。
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仕 事 の メ ー ル 作 法     < 気をつけたい言葉(4)
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「させていただきます」

「では、後ほど読まさせていただきます」

この一文の問題点は、「読まさせて」の「さ」が余計な点です。
このように不要な「さ」が入った表現を「さ入れ言葉」と呼び、うっかり
使ってしまいがちです。

「させていただく」を分解すると、
使役の助動詞「させる」 + 謙譲語の「いただく」
となります。

この場合の「させる」は、だれかに何かをさせる意味を表しており、
「いただく」とセットで使うことで、相手に許可を得るようなときに使わ
れます。しかし、使役の助動詞には「せる」もあり、「させる」と「せる」
が混同されていることが多いようです。

上記の場合、「読ませていただく」で意味は通じます。相手に敬意を払う
表現を意識するあまり、不要な「さ」が入ってしまった例です。

その他の例では

× やらさせていただきます ⇒ ○ やらせていただきます
させていただきます

× 休まさせていただきます ⇒ ○ 休ませていただきます

× 送らさせていただきます ⇒ ○ 送らせていただきます

実は私も時々使ってしまいがちで、「さ」を入れるべきかとるべきか迷う
ことが多くあります。
「させていただく」とすれば、とりあえずへりくだった表現になっている
はず、という思い込みが間違いを招いているように思います。

一方、「~させていただきます」と人から言われた場合、一見、丁寧なよ
うで強引にことを進めようとする印象を受けます。注意したい言葉です。

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