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仕 事 美 人 の メ ー ル 作 法  < 読者からの質問(3)
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「先方様」の「様」

<読者からの質問>————————————————

今回はちょっとおかしな言葉使いを目にしたので
神垣さんにもお知らせしたく、初めてメールしてみました。

「様」の使い方についてです。

先日、ネットオークションで、相手とやりとりしていたら、
「先方様の連絡先をお知らせくださいませ」とメールがきました。

他の文章は丁寧なのに、この一語に非常に違和感を感じました。
相手の方は、「あなた様の」という意味で使っているのだと思いますが、
おもしろいですよね。方言なのかもしれませんが。

その他、テレビの番組CMで、
「あなたの日本語大丈夫? 携帯番号様、ご住所様」といった
ものを見ました。

そのCMは、受付カウンターで制服姿の女性が
「携帯番号様を教えてください」
といいながら接客しているような映像でした。

もしかして、新しいコンビニ言葉なのでしょうか。
私としては、日本人そっくりに見えるアジア系外国人の
日本語の使い間違いだと思いたい!

以上、どうお思いになりますか?
(読者 Tさん)
——————————————————————

「先方様」という言葉には、私も違和感を覚えます。

「先方」とは、
相手の人、相手方を意味し、反対語は「当方」。

「先方」の敬称は「先様(さきさま)」です。

上記のネットオークションでのやり取りの場合
Tさんのご指摘の通り「あなた様」という意味で使っていると思われますが
ここでは「落札者様」あるいは、名前が分かっていれば
「○○様」とする方が自然でしょう。

そもそも、直接、やりとりしている相手に対して
「先方」を使うのはおかしいですよね。

「携帯番号様」「ご住所様」と同様の例では
「お名前様」というのもあります。

「様」は人を表す語や人名などにつける敬称ですが
人を表すからといって、名前にまで様を付けるのは
行きすぎでしょう。

「お名前のご記入をお願いします」
「お名前をお知らせください」
で、相手への敬意は伝わるはず。

こうした「様」の氾濫は
過剰な敬語に通ずるものがあるように感じます。

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今週は、読者のかたからいただいた質問にお答えします

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今週は、読者のかたからいただいた質問にお答えします
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仕 事 の メ ー ル 作 法  < 読者からの質問(2)
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「~になります」

<読者からの質問>————————————————

以前から気になっている表現に対し、
思いきって質問することにしました。

最近
「~になります」という表現の多用が気になります。

複数のものを買い物し
「100円+350円+1500円=合計1950円になります」

上記のように、何かの結果として導き出された回答が
1950円になる場合に、「~になります」を使うなら
違和感は少ないですが、

もしかしたら「1950円です」で済むのでは?
と思うこともしばしば。

「?度」の高いものでは
・文章の最後の結びが  「以上になります」
・○○に該当するものは、□▲◎になります  など・・・

すべて
以上 / □▲◎です で、
十分コト足るように感じます。

神垣さんは どのように思われますか?
私の考えすぎでしょうか?
(読者 I.Oさん)
——————————————————————

決して考えすぎではありません。

「~になります」は
いわゆるコンビニやファミリーレストランの接客で使われる
「バイト敬語」のひとつと思われます。

I.Oさんが例に挙げた「合計1950円になります」とか
「全部で千円になります」のように
ある数値に達するとき、「~になる」とするのが本来の使い方です
(ある状態に至る様を示す時にも「になる」は使われますが…)。

しかし、ご指摘の通り
支払時の合計金額を知らせるような場合以外でも
同じような感覚で「~になります」が使われていることが増えました。

「こちらが製品カタログになります」
「お待たせしました、ご注文の品になります」
「お申込みいただいたのは、指定席になります」

上記は、話し言葉で使われることが多い表現ですが
「~になります」としなくとも
「~です」で言い切れる表現です。

「現在、満席のため、1時間ほどお待ちいただく形になります」

これも、「形」という言葉をさしはさまなくても
「お待ちいただいております」
「お待ちいただけますか?」
として事足ります。

はっきりと伝えたり、明言したりする方が
双方にとって誤解がなく、良いと思われるのですが
「~になります」とか「~の形になります」のように
ぼやかした表現で明言を避ける傾向にあるのがバイト敬語です。

話し言葉同様、書き言葉でも疑問を抱くことなく、
使っているケースが見られます。

よく意味を考えず、なんとなく使われている
バイト敬語の類は、どうも鼻につくのですよね。

人が使っているからと流されず、本来の意味を知って
きちんとした表現ができるる大人でいたいものです。

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今週は、読者からの興味深いメールをご紹介します。
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仕 事 の メ ー ル 作 法  < 先輩からのアドバイス(5)
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主語の違いで変わるニュアンス

今週は、本メールマガジンへ読者のかたからいただいた
感想やご意見の中から、「なるほど!」「確かに!」と
感じた言葉づかいやメールマナーに関するものを紹介してきました。

次のメールは
VOL.1245 < 過度の敬語(4)>名前を尋ねるときの注意 


で取りあげた
「お名前を頂戴してよろしいですか」に対し
「お名前を教えていただけますか」が適切と述べた点
についていただいたものです。

<読者からのメール>———————————————-

反論するわけではなく、ご参考までに。

名前を聞く場合に、
英語、インドネシア語、マレー語では、
「お名前を頂戴してよろしいですか」(May I have your name?)のほうが、
「お名前を教えていただけますか」(Would you tell me your name?)より
一般的、かつ、より丁寧な言い方です。

英語のhaveと日本語の「頂戴する」のニュアンスと一般性が
若干食い違うとともに、

「相手に行動をお願いする」より「自分の行動の許可をもらう」ほうが
丁寧な表現だと考えられているからなんでしょうね。

ですから、英語、インドネシア語、マレー語の世界では、
「(私が)**してよろしいですか」のほうが
「(あなたに)**していただけますか」より丁寧と考えられています。

日本語と、英語・インドネシア語・マレー語の、
考え方の違いを感じました。
(読者 K.Kさん)
——————————————————————

これは、私自身が「なるほど!」と興味深く読んだご指摘でした。

20代で、英会話を(必要に迫られ)自力で猛勉強していたとき
この「May I ~」と「Would you~」の使い分けの違いがわからず
いつも迷っていた経験があります。

日本語のニュアンスからすれば
「(私が)~してよろしいですか」  (May I~)より
「(あなたに)~していただけますか」(Would you~)の方が
丁寧と思ったので、英語でもそうであろうと使うのですが
どうも相手の反応が違う……。

米国で買い物するときも、お店の人は
「May I ~」
を使いますよね?

そんな経験があったゆえ

> 英語のhaveと日本語の「頂戴する」のニュアンスと一般性が
> 若干食い違うとともに、
> 「相手に行動をお願いする」より「自分の行動の許可をもらう」ほうが
> 丁寧な表現だと考えられているからなんでしょうね。

という一文を興味深く読み、合点がいった次第です。

主語を自分にするか、相手にするかで
尋ね方も、受け止め方も変わるということが
よくわかる内容だったので、ご紹介しました。

当メールマガジンへは
記事に対する質問や感想のほか
このように経験を積まれた先輩からの
勉強になるご指摘やアドバイスをいただきます。

私だけが知っておくのはもったいない!
と感じた内容は、今後もこのような形で
読者のみなさんとも共有していきたいと思っています。

表現の仕方、伝え方を考えるきっかけにしていただけると
うれしいです。

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<

今週は、過剰に使いすぎている敬語について取りあげます。
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 仕 事 の メ ー ル 作 法              < 過度の敬語(5)
◆─────────────────────────────────◆
                      感謝や依頼する際の注意

「本日はこのような機会をお与えいただきまして、ありがとうございます」

上記の文は、あながち間違いでもないのですが
そこまでへりくだる必要があるのか? と思う一文でもあります。

謙譲の「お~いただく」を使ったのが「お与えいただく」ですが
同じ謙譲語でも「与えていただき」を使い

「本日はこのような機会を与えていただき、ありがとうございます」

とします。

または、「機会を与えてくれた」相手に対する尊敬語として、
「~してくださり」を使い

本日はこのような機会を与えてくださり、ありがとうございます」に。

相手にお願いして何かしてもらう場合は「~くださいますよう」。
例えば、すぐに書類を送ってほしい場合は

「○○の書類を至急、ご送付くださいますようお願いいたします」

とします。

尊敬語は数多く使うほど、丁寧になるのではなく
却って慇懃無礼な印象を与えることも多くあります。

敬語表現は一文にひとつ、使われていれば
事足りることが多いです。

一文にいくつも敬語表現を使っていないか
もっと簡潔に、すっきり表現できないか
と気に留めておきましょう。

 
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今週は、過剰に使いすぎている敬語について取りあげます。
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 仕 事 の メ ー ル 作 法               < 過度の敬語(4)>
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                       名前を尋ねるときの注意

「受付で、お名前をおっしゃってください」

上記の「おっしゃってください」は
「言う」の尊敬語は「おっしゃる」が使われ
一見、丁寧な表現に感じます。

ですが、「おっしゃってください」の元の意味を考えてみましょう。
敬語を取っ払うと「言って、言え」と命令していることになります。

この場合は
「受付で、お名前をお聞かせください」
とします。

「お聞かせください」に代わり
「お願いします」「お聞かせ願えますか」としてもよいでしょう。

同じような意味合いを指す言葉で
書き言葉としてより、話し言葉で使うことの多い
「お名前を頂戴してよろしいですか」
も敬語が過剰な表現です。

「頂戴する」や「いただく」は、「もらう」の謙譲語です。
この場合、元の意味に直すと
「(あなたの)名前をもらってもいいですか?」ということになり、

名前を物のように人にあげたり、もらったりすることになります。
ですが、本来、名前は受け渡しするものではありません。

「よろしいですか?」という表現も
相手に良いか悪いかを尋ねることになるため、
相手が「名前を名乗りたくない」と思った場合
「いいえ」とか「嫌です」と返答したら、そこで終わってしまいます。

ですから、名前を尋ねる必要がある場合に
「よろしいですか?」と問うのは具合が悪いことになります。

「お名前を頂戴してよろしいですか」は
「お名前を教えていただけますか」
とすれば、すっきりします。

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                  「~させていただきます」に注意!

「添付の資料について、ご説明させていただきます」

上記の「ご説明させていただきます」の
「~させていただきます」はNGな敬語として
これまで、当メールマガジンで何度も取り上げてきました。

相手に許可を得て行動したり、
それにより自分が恩恵を受ける気持ちがあったりするわけでなければ
「~させていただきます」を使わなくても、
「~いたします」として差し支えありません。
この場合は、添付した資料について自分から説明するので

「添付の資料について、ご説明いたします」

です。
相手が社内の人であれば

「添付の資料について、説明します」

として十分です。

私見ですが、「~させていただきます」のまん延は
テレビやラジオの影響が大きいのではないでしょうか。

テレビ番組やラジオ番組で
パーソナリティーやアナウンサー、タレントの多くが
「~させていただきます」をやたらと使っています。

話し言葉は聞き流して終わりですが
何度も耳にする機会があれば、
文章を書くときにも影響を受けてしまいます。

日常生活で話し言葉と書き言葉の違いを意識することも
必要に思うのです。

▼「~させていただきます」についてのバックナンバー

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