今週は、読者のかたから寄せられた質問にお答えします。
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仕 事 の メ ー ル 作 法 < 読者からの質問(5)>
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おすすめの本
<読者からの質問>————————————————
文章能力をあげるには、小説がよい、とおっしゃっていましたが、
神垣さんが参考にする本、または内容が良質で好きだと思える本があれば
是非教えていただきたいのです。
(読者・R.Iさん)
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R.Iさんには、以前、文章能力を上げるための訓練として、新聞のコラムや
小説を読むことをアドバイスしました。
日経の「春秋」、朝日の「天声人語」など、新聞の一面下にある短いコラ
ムは、文章の運び、文末の始末など、文章を書く上でのお手本になる内容
であること。
小説を読むことで読解力、表現力が養われる、そんなことをお伝えしました。
読む小説は、その人の好きなもので良いと思っています。
私の場合を申し上げますと、未だに繰り返し読むのは山本周五郎の短編です。
ちなみに、今読んでいるのは文庫の「扇野」という短編集。
帯には「厳しさと優しさのまなざし」とありますが、周五郎作品の魅力は
人の心の機微をうまく捉えて表現しているところです。
時代物の人情話が多いのですが、けなげに潔く生きる人の描写に思わず涙
がこぼれることも…。きちんとした日本語が読める点も好きです。
夏目漱石と芥川龍之介は二十歳前後のころ、好んで読んでいました。この
ような古典的な小説は、好き好きもあると思うので、自分の好きな作家の
作品を続けて読むとよいかもしれません。
趣味で読むのはもっぱら恋愛小説で、山田詠美、藤田宜永が好きです。
両者とも短編作品が秀逸です。
▼ 仕事に必要なのは想像力
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読む能力が上がる、つまり、読書量が増えると自然と書く能力も上がって
きます。
私の周りには、30代、40代から読書を始めたという人も少なくありません
が、彼らの文章はとてもわかりやすく的確。それまで本を読むのも文章を
書くのも苦手だった、というのが信じられないほどです。
若いときから継続して読むこと、書くことを続けている人は、文章も安定
しています。
読書の利点は、想像力が鍛えられ、相手の気持ちを読み取ることができる
ようになることです。ノウハウ系の本より小説をお勧めするのは、そのた
めです。
読書で養った相手の気持ちを推し量る心、思いやる力は、仕事をするうえ
でもきっと役に立つと思っています。