今週は、気になる言い回しや表現の仕方について取りあげます。
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 仕 事 美 人 の メ ー ル 作 法  < 気になる表現(4)
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                        敬語の多用に注意

 「多忙な日々をお過ごしの中で
  いかに気分転換を図り、また
  感性が鈍らないように努めていらっしゃるかという秘訣や、
  お心がけがあれば教えていただきたいと思います」

 上記の一文は、敬語の使いすぎが気になる例として挙げてみました。

 「お過ごし」「努めていらっしゃる」「お心がけ」「教えていただきたい」
 と、一文に4つも敬語が使われています。

 書く側が相手に敬意を払っているのは十分伝わってきますが
 敬語が多いために、文章が長く、もたついています。

 「また」という接続詞
 「と思います」という記述も
 文章を間延びさせている要因と言えるでしょう。

 相手に敬意を払いつつ、ずばっと自分が尋ねたい点を
 明確にする方が、相手も回答しやすいです。例えば…

 「多忙な日々を過ごしながらも、どのように気分転換を図り、
  感性を磨く工夫をされているのか、
  ぜひ、お尋ねしたいです。」

 「感性が鈍らないように努めていらっしゃるか」は
 「感性を磨く工夫をされているのか」と
 表現を変えるとすっきりし、ポジティブな問いかけになります。

 最後の「教えていただきたいと思います」も
 「ぜひ、教えてください」
 「ぜひ、お尋ねしたいです」
 とすると、そのことに強く興味があり、教えてほしい
 というこちらの気持ちが端的に伝わります。

 相手に失礼にならない丁寧な表現に気をとられ
 本来、尋ねるべきポイントを見失っていませんか?

 何を尋ねたいのか、聞き出したいのかを
 まず明確にしたうえで
 敬語に配慮する…という文章のまとめ方を習慣づけたいですね。

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今週は、気になる言い回しや表現の仕方について取りあげます。
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 仕 事 美 人 の メ ー ル 作 法  < 気になる表現(3)
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                        文意の違いを明確に

 「○○について既に述べられていらっしゃるようでしたら、
  ご容赦の上、そのバックナンバーのタイトルを
  お教えいただければ幸いです」

 上記の文例は、敬語の使い方に問題があり、文章も長いです。

 「述べられていらっしゃる」
 の一文には、尊敬の「~られて」と「いらっしゃる」が重なり
 敬語が過剰に使われています。
 ここでは「述べておられる」とすれば、すっきりします。

 文が長いのは「ご容赦の上、」として、後の文を続けているから。

 「ご容赦」と許しを請う一文と
 「お教えいただければ」とお願いする文が一つになっているので
 言葉づかいは丁寧でも、ぞんざいな印象を与えるのです。

 「ご容赦ください」
 と一度文を切れば、「ご容赦=お許しください」という意が
 きちんと伝わります。

 文を切ったうえで
 「差し支えなければ」「可能でしたら」というひと言を添えて
 「バックナンバーのタイトルを~」と続ければ
 文の流れもよくなり、相手にお願いする気持ちも表現できます。

 上記をまとめると、次のように書き換えられます。

 「○○について既に述べておられたら、ご容赦ください。
  改めて確認したいので、差し支えなければ、
  ○○について書かれたバックナンバーのタイトルを
  教えていただけないでしょうか」

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今週は、気になる言い回しや表現の仕方について取りあげます。
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 仕 事 美 人 の メ ー ル 作 法  < 気になる表現(2)
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                             長い一文

 「もともと遠視と乱視があり、目が疲れやすいため、
  目の健康には気をつけてきましたが、
  そこに老眼が入ってきて、目の疲れがひどくなってきています」

 上記は「一文が長い」例として取り上げました。

 視力の衰えを訴える内容で、私も他人事ではないのですが
 「訴える」気持ちが強く働くと、感情にまかせて
 一文も長くなってしまいがちです。

 「あり、」「ため、」「ましたが、」「てきて、」
 と、接続語で続けていくと文章はいくらでも長くなってしまいます。

 一度、ざ~っと思いのたけを書いた後
 もう一度読み返し、文章を整えてみましょう。
 上記の文例の場合は…

 「もともと遠視と乱視があり、目が疲れやすいため、
  目の健康には日ごろから気をつけてきました。
  ところが、最近では老眼も入ってきて、
  目の疲れがひどくなっています」

 長い一文を、途中で一度一区切りしました。

 この書き手が最も訴えたかったのは
 「日ごろから気をつけているにもかかわらず、老眼も!」
 という点。

 その点を強調するためにも
 一度、文を切り「ところが」から、
 後半の文を続けました。

 強く伝えたい内容は、
 「しかし」「ところが」「けれど」など
 逆接の接続詞を使うと、後に続く内容を強調できて効果的です。

 少々大げさな「にもかかわらず」「しかしながら」なども
 場合によっては、使える言葉です。

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今週は、気になる言い回しや表現の仕方について取りあげます。
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仕 事 の メ ー ル 作 法                               < 気になる表現
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「よろしければ」に続く言葉

「もしよろしければ、佐藤さんのコメントがひとことほしいです」

という一文。なんだか変です。

ここでの「もしよろしければ」は
「差し支えなければ…」という意味合いで
相手に何かしらの行動や行為を打診するフレーズ。

「コメントがほしいです」と言い切るよりも
「コメントをお願いできますか?」
あるいは
「コメントをいただけますか?」
と疑問形にする方が、文としてしっくりくるように思います。

読者からも次のような質問があったので、ご紹介します。

<読者からの質問>————————————————

先日、あるメールを見ていたら
「よろしければ、ぜひご覧くださいませ」という
フレーズにふと目がとまりました。

質問に対してとてもよく案内されていた内容だったので
文末に「よろしければ、ぜひご覧くださいませ」という文字が
とても不自然に感じました。

よろしければ⇒謙遜
ぜひ⇒強調

謙遜と強調が同居していて違和感を感じるのは
私だけでしょうか?

「よろしければ、ぜひご覧ください」は普通に使って
問題ないでしょうか?
(読者 uffahhaさん)
——————————————————————

「よろしければ」は上記同様
「差し支えなければ…」と相手の行動を打診する際に使う表現です。

それに対して
「ぜひ」は、「なにとぞ」と相手の行動を強く願う表現。

相手の都合を尋ねる「よろしければ」と
相手に強く要求する「ぜひ」とでは
相反する表現なので、一緒に使うことに違和感を覚えるのでしょう。

この場合は
「よろしければ」は付けず
「ぜひ、ご覧ください(ませ)」
とする方がよいと思います。

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今週は、読者からの興味深いメールをご紹介します。
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仕 事 の メ ー ル 作 法  < 先輩からのアドバイス(5)
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主語の違いで変わるニュアンス

今週は、本メールマガジンへ読者のかたからいただいた
感想やご意見の中から、「なるほど!」「確かに!」と
感じた言葉づかいやメールマナーに関するものを紹介してきました。

次のメールは
VOL.1245 < 過度の敬語(4)>名前を尋ねるときの注意 


で取りあげた
「お名前を頂戴してよろしいですか」に対し
「お名前を教えていただけますか」が適切と述べた点
についていただいたものです。

<読者からのメール>———————————————-

反論するわけではなく、ご参考までに。

名前を聞く場合に、
英語、インドネシア語、マレー語では、
「お名前を頂戴してよろしいですか」(May I have your name?)のほうが、
「お名前を教えていただけますか」(Would you tell me your name?)より
一般的、かつ、より丁寧な言い方です。

英語のhaveと日本語の「頂戴する」のニュアンスと一般性が
若干食い違うとともに、

「相手に行動をお願いする」より「自分の行動の許可をもらう」ほうが
丁寧な表現だと考えられているからなんでしょうね。

ですから、英語、インドネシア語、マレー語の世界では、
「(私が)**してよろしいですか」のほうが
「(あなたに)**していただけますか」より丁寧と考えられています。

日本語と、英語・インドネシア語・マレー語の、
考え方の違いを感じました。
(読者 K.Kさん)
——————————————————————

これは、私自身が「なるほど!」と興味深く読んだご指摘でした。

20代で、英会話を(必要に迫られ)自力で猛勉強していたとき
この「May I ~」と「Would you~」の使い分けの違いがわからず
いつも迷っていた経験があります。

日本語のニュアンスからすれば
「(私が)~してよろしいですか」  (May I~)より
「(あなたに)~していただけますか」(Would you~)の方が
丁寧と思ったので、英語でもそうであろうと使うのですが
どうも相手の反応が違う……。

米国で買い物するときも、お店の人は
「May I ~」
を使いますよね?

そんな経験があったゆえ

> 英語のhaveと日本語の「頂戴する」のニュアンスと一般性が
> 若干食い違うとともに、
> 「相手に行動をお願いする」より「自分の行動の許可をもらう」ほうが
> 丁寧な表現だと考えられているからなんでしょうね。

という一文を興味深く読み、合点がいった次第です。

主語を自分にするか、相手にするかで
尋ね方も、受け止め方も変わるということが
よくわかる内容だったので、ご紹介しました。

当メールマガジンへは
記事に対する質問や感想のほか
このように経験を積まれた先輩からの
勉強になるご指摘やアドバイスをいただきます。

私だけが知っておくのはもったいない!
と感じた内容は、今後もこのような形で
読者のみなさんとも共有していきたいと思っています。

表現の仕方、伝え方を考えるきっかけにしていただけると
うれしいです。

●このメルマガ配信時の「あとがき」はこちら


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今週は、読者からの興味深いメールをご紹介します。
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 仕 事 の メ ー ル 作 法         < 先輩からのアドバイス(4)
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                          1通に1つの用件

今週は、本メールマガジンへ読者のかたからいただいた
感想やご意見の中から、「なるほど!」「確かに!」と
感じた言葉づかいやメールマナーに関するものを紹介したいと思います。

次のメールは
VOL.1255  < 読み返す際のポイント(4)> 内容の検証
にいただいたものです。

<読者からのメール>———————————————-

>  1)メールは原則、1通に1つの用件でまとめます。
>   あれもこれもと複数の用件を一度に送ると、返信にも手間がかかり
>   用件を見落としやすいです。

大いに賛成です。
人間というのは、To Doリストを一つ一つつぶして行く、
進捗が目に見えるような仕事を好むもの。
複数の案件が一つのメールに詰まっていて、済んで消す項目が一つでは、
やるほうも、せいがない。

それと、難しい案件と易しい案件を一緒にしていると、
難しい案件を処理するのに時間がかかるゆえに、
本来すぐ返事をもらえるような易しい案件の返事まで、
もらえるのが遅くなってしまいます。

> 3)誤解やトラブルのもと。できるだけ数値化したり、具体的に伝わる
> 表現を心がけましょう。

具体的に伝わる表現でいくと、上記の場合は:
「県会議員に面会するアポイントを取ってほしい」(前者)という案件と、
「今度の日曜日に花見に行きましょう」(後者)という誘いを、
一つのメールに入れた場合。

このとき、すぐに返事が欲しい「後者」の案件の回答が、
当然「前者」の重さに引きずられて、遅くなってしまいますよね。

(読者 K.Kさん)
——————————————————————

K.Kさん、わかりやすい例をありがとうございます。

送信する側は「ついでに、この案件も」と
別件を追加して送ってしまいがちですが

受信する側が、そのメールに返信する際に
「本来すぐ返事をもらえるような易しい案件の返事まで、
返事が遅くなってしまう」
という事態が発生することが多くあります。

ですから、送信する側は面倒でも
後のことを考えて、用件を分けて送信する方が
やり取りの遅れや混乱を避けることができるわけです。

仕事全般に言えることですが
目の前の損得とか、手間を省くことだけにとらわれず
先のこと、次の工程、次の人が困らない
配慮ができるか否かが、
仕事のでき不できを大きく左右するように思います。

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